FIAは、スパイ容疑がかけられたルノーに対し、有罪でありながら罰則は科さないとした裁定を下したが、その理由は、ルノーが不正に得た情報によって選手権争いに影響が出た証拠がないことだと説明した。
元マクラーレン従業員で、2006年6月にルノーに加入した、フィル・マッケレスは、マクラーレンの機密情報を同チームに持ち込んでいたことが発覚、ルノーは世界モータースポーツ評議会(WMSC)に召集された。
この結果、ルノーは国際スポーツ法典151c条に違反しているとの判決を受けた。しかしWMSCは、ルノーのエンジニアたちが見た4枚の図面のうちの3枚はルノーが利用できるものではないとしている。残りの1枚はいわゆる“Jダンパー”に関するものだが、ルノーにはシステムにおける“基本的な誤認”があったため、選手権に影響があったとは断言できないとFIAは見なした。
FIAの声明には以下のように記されている。
「マクラーレンの機密情報のルノーへの流出は、F1エンジニアがチームを移籍するという状況の中で起こったことである。現在の情報が、あるチームから他チームに流出したという証拠はなく、したがってこれは“生きた”情報ではなかった。マクレーレンを去って以来、マッケレスは現在の、そして最新のマクラーレンの情報にはアクセスしていない。さらに、ルノーがマッケレスに対し、マクラーレンの機密情報を持ち込むよう促したという証拠も一切ない」
「WMSCは、ルノーがオープンかつ隠し立てのない姿勢で調査にあたったことは重要だと考えた。WMSCは、ルノーがFIA技術部門の調査に全面的に協力したことにも言及しておく」
「審議において多数の極めて不十分な要素が指摘されたが、違反の重要性を評価した結果、WMSCはこの情報が選手権を妨げ、あるいは影響を及ぼす形で使用されたという十分な証拠はないという結論に達した」
「したがって、こういった要素からWMSCは、現状では罰則を科すことはできないという結論に至っている」
「WMSCの決定に疑問を投げかけるような新たな情報が発覚した場合には、本件は再度FIAによって再開されることに留意してもらいたい」