様々な憶測が渦巻いていたが、BMWザウバーF1チームは、来季、ジャック・ビルヌーブをニック・ハイドフェルドの同僚として起用すると発表した。
ビルヌーブは、2005年にペーター・ザウバーと結んだ契約がもう1年残っていると、常に主張してきた。しかし、ウイリアムズと袂を分かち、2006年からザウバーのチームを引き継ぎ、ワークスチームとして参戦することになったBMWは、その契約を認めるのか、ビルヌーブの代わりにもっと若いドライバーを起用するのか、これまではっきりさせてこなかった。IRLチャンピオンのダン・ウェルドンやGP2で活躍したヘイキ・コバライネン、そして元ウイリアムズのアントニオ・ピッツォニアが、このシートとの関わりで名前を挙げられていたが、その後、彼らはみな、他の場所を目指す決断をしている。
BMWのモータースポーツディレクター、マリオ・タイセンによれば、2005年後半のビルヌーブのパフォーマンスによって、彼を残留させる方に判断が傾いたということだ。
「昨シーズン末に、ジャックのパフォーマンスレベルを詳細に検討した。シーズン前半は非常に厳しいもので、たとえ元ワールドチャンピオンでも、しばらく休んだ後ではすぐに戦闘力を取り戻せないということが分かったが、その後、彼はチームメイトにどんどん近づいていった」とタイセンは説明した。「2006年に、ジャックがBMWザウバーF1チームをさらに強くしてくれることは、間違いないと思う」
ビルヌーブは、来週へレスでF1のテストが再開される際に、新チームでの仕事を開始することになる。1997年のワールドチャンピオンであるビルヌーブは、V8エンジンを搭載した暫定マシンを12月8日に初めてドライブする予定だ。
「1999年から2004年までに、新しいチームを建て上げるときの難しさや複雑さを、僕は身をもって体験してきた」とビルヌーブは、BARでの苦労を思い出して語った。「でも、僕はチャレンジを恐れたことは一度もないよ」
「ザウバーはすでにいいチームだったが、これでBMWのリソースもバックにつくことになったし、僕はチームの成功に貢献できることは何でもするつもりだ」
BMWがチームオーナーとなったことから、かつてのザウバーチームには、ニック・ハイドフェルドが復帰し、戦力が強化されている。元テクニカルディレクターのウィリー・ランプは、ヒンウィルにある元ザウバーのファクトリーで、引き続きシャシー開発の責任者を務めることに同意している。また、BMWのハインツ・パッシェンが、2006年用の新型V8エンジンと、新車の駆動系全体の開発をミュンヘンで指揮する。ザウバーのパートナーだったペトロナスは、今後数年にわたってタイトルスポンサーを務める契約にサインしており、チームが冬の間に体制を固めていくうえで、しっかりした基盤を提供している。