11月1日に自らのチーム「SUPER AGURI Formula 1」によるF1活動記者会見を行った鈴木亜久里は、今回の発表を“FIAにエントリーを出したことを発表する会”と位置づけ、FIAがエントリーを受理するかどうかを含めて明らかにできることは少ないなかでの会見となった。このタイミングで発表を行った裏には様々なところからウワサが独り歩きして勝手な情報が流れることを防ぐためのようだ。
「子供のころからの夢のF1の世界でチームとして参戦すること発表できうれしく思う」と言う鈴木亜久里が今回のプロジェクトに実際に動き始めたのが今年の2月。具体的なプロジェクトとしてのアクションは9月から起こしているという。「日本の山から世界の山、エベレストに登るようなもの」とF1チャレンジの難しさを語る亜久里。ファクトリーはイギリスのオックスフォード州にあるTWRにある旧アロウズのものを使い、チームの所在地は自身の会社組織である株式会社エー・カンパニーとして、日本国籍のチームの代表者として亜久里が指揮を採ることとなった。
エンジンはホンダのV8を搭載することを明らかにされたほか、シャシーの名称はずばり「AGURI」としたことまでが発表された。気になるドライバーは「佐藤琢磨には話をしている」ということだが、決定はしていない。「ふたりとも日本人がドライブすることもあるかもしれないし、日本人ドライバーが乗らない可能性も否定できないという状況」
またスポンサーとしてウワサされるソフトバンクの名前も「新聞等で報道されているが、そのような大企業についてくれればとてもうれしいが、まだ今日はエントリーしましたという発表会なので、今後は数々のハードルをクリアして体制発表会できちんと伝えられるようにしたい」とコメントするにとどまった。
シャシー製作に関してのホンダの関わりについても「ホンダに大変な協力をしてもらいながら開幕戦に間に合うようにしていきたい」とマシン製作に関して協力を受けていることは明らかになったが、世間で言われているようなBARのマシンからの技術の供与などに関しては現在のところ不明だ。タイヤは今回、参戦発表を正式に行ったことで「ブリヂストンにお願いに行きたい」とBS陣営に加わる意思があるようだ。
また、これまでARTAで行ってきた各種活動を継続するのか、F1に集中するのか、という質問に対して「世界一欲張りな男と自分でも思うくらい、子供のカートからGT、IRLいろいろやっているけど、日本の若い子たちが育っていって、F1やIRLで戦えるフィールドは用意し、そのステップは残しておきたい」と継続する意向を表している。
「開幕戦のグリッドに並ぶことが最初の目標」という亜久里のF1ドリームチームプロジェクトは、まずはエントリーすることでその一歩を踏み出した。今後はエントリーが受理された後に次々とそのハードルを越えていくこととなるだろう。