2005年F1世界選手権は、シーズン中で最も忙しい時期に入っている。11週間で8戦という過密スケジュールで、今週末のヨーロッパ・グランプリはその2戦目にあたる。つい1週間前のモナコGPで4連覇を成し遂げたミシュランは、昨年からかぞえて8連勝をニュルブルクリンクで狙う。
ヨーロッパGPの開催地であるドイツのニュルブルクリンクは、モータースポーツ史上最も名高いサーキット名のひとつ。ただしその名前で世界的に知られているのは、現代的設備をそなえる開けたサーキットではなく、その背後の森に横たわる全長22.835kmの圧倒的スケールを誇るロングコースのほうだ。
オリジナルのニュルブルクリンクは1920年代半ばに完成し、世界選手権グランプリを1950年から76年まで、22回開催し、F1カレンダーから姿を消したのは、ミシュランが最初のF1参戦を始める1年前だった。
現在のコースは2002年に拡張工事を受け、全長5.148kmになっている。最初にF1カレンダーに登場したのは1984年で、今週末が13回目のグランプリ開催となる。ヨーロッパGPの名が冠されるレースは15回目で、ニュルブルクリンクでの開催は過去に9回。1999年以降は、ヨーロッパGPといえば毎年ここである。他にはドイツGPとルクセンブルクGPを開催したことがある。
ミシュランは、ヨーロッパGPで3回勝利を挙げている。1983年ネルソン・ピケ(ブラバムBMW、ブランズハッチ)、1984年アラン・プロスト(マクラーレンTAGターボ、ニュルブルクリンク)、2003年ラルフ・シューマッハ(ウイリアムズBMW、ニュルブルクリンク)だ。昨年のレースでは、佐藤琢磨(ラッキーストライクB・A・Rホンダ)が、日本人ドライバーとして初めてフロントローからグランプリをスタート。ミシュラン勢最上位フィニッシュは、チームメイトのジェンソン・バトンで、3位だった。
ピエール・デュパスキエ(ミシュラン・モータースポーツディレクター)
「ニュルブルクリンクは年間を通じて天候の予測がつかないところなので、タイヤの準備は毎年悩まされます。5月でも、週末ごとに20℃も気温が上下することがあります。天候の面では、私たちが7連勝を記録した先週のモナコほどには安定していないはずです」
「前回勝ったおかげで、今週末のレースも非常に楽しみです。ニュルブルクリンクはバランスのとれたコースで、気まぐれな天気を別にすれば、技術的に特殊な問題はありません。昨年から大きく変わったところはないので、未知の部分もとくにありません。最近のテストでは少しおもしろいタイヤのオプションを試しましたので、今回も他のサーキットと同じように、パートナーにアドバンテージを提供できるはずです」
ラルフ・シューマッハ(パナソニック・トヨタ・レーシング)
「タイヤの摩耗管理はどのコースでも重要で、ニュルブルクリンクでも変わらない。サーキットは、F1ではお馴染みのタイプで、2年前に改修されてからはますますその傾向が強くなった。路面は、週末の走りはじめはかなり摩耗性が高いけど、しだいに落ち着いてくる」
「ウェットタイヤを使う場面も充分に考えられる。天気が変わりやすいので、あらゆる状況に備えなくてはならない。でもどんな場面になっても、ミシュランは対応できると信じているよ。個人的にも、ここでのレースと観客の雰囲気は毎年楽しみにしている。僕が生まれ育ったケルペンに一番近いF1サーキットだからね」