富と名誉を手に入れた人々の社交場として知られるモナコ公国。フォーミュラ・ワンの世界で至宝に例えられる開催国で、2005年F1世界選手権第6戦目となるモナコ・グランプリが来週開催される。
現在、コンストラクターズ・タイトルで4位につけているBMWWilliamsF1チームは、FW27に施した空力面の改良と、今週、モナコGPの舞台となる地中海沿いの狭くてコーナーの多い市街地コースによく似た条件を備えたイタリアのヴァッレルンガで行われた集中的なテストの結果に期待を寄せている。全シリーズ中で最も過酷なコースとも言われるモナコGPは、予選の結果と卓越したレース戦略が好成績につながる半面、わずかなミスが命取りになるが、モナコで過去3勝し、2003年にモントーヤのドライブで優勝したBMWWilliamsF1チームは、これまで以上に実り多い結果になることを期待している。
マーク・ウェバー
「モータースポーツの歴史に深く関わるモナコGPに匹敵するレースは他には無いと思う。ここでは数多くの名勝負が繰り広げられ、数え切れないほどの伝説が生まれた。ドライバーにとって、モナコは比較的低速のコースにもかかわらず集中力と体力が非常に重要な意味を持つため、シーズン中最も挑戦的なレースになる。また、ミスの許されるゆとりがほとんどなく、わずかでもミスを犯せばたちまち大きなアクシデントにつながるので、精神面でもここは非常に厳しいコースと言える。モナコGPはコース・コンディションがめまぐるしく変化するため、チームにも多くの課題を与える。起伏が激しく、路面の段差が多いので、できる限り丁寧にドライブする必要がある。しかし安定したマシンが常に速いとは限りません。最良のバランスを見つけることが大切だろう。」
ニック・ハイドフェルド
「モナコは、今シーズンのレースの中で最も難しいコースであることは間違いない。僕はこのコースが好きなので、ここでレースを戦えるのが楽しみだ。モンテカルロの街を駆けぬけるのは本当に気持ちが良いので、このレースが今年も組み込まれたことをうれしいし、これからも長く続くことを望むよ。安全面の問題を指摘する人もいるけど、ここを走るのは本当に楽しいからね!僕にとってモンテカルロはF3とF3000時代に優勝したこともあり、いい思い出のあるコースなんだ。」
サム・マイケル(BMWWilliamsF1チーム、テクニカルディレクター)
「モナコGPを前に、FW27の空力エアロダイナミクスをさらに強化した。またこの1週間、モナコGPに備えてイタリアのヴァッレルンガでテストを実施した。主にミシュラン・タイヤを集中的にテストしたが、セッティングや冷却システムのチェックと、スタートのテストも行った。モナコはタイトな市街地コースで、ソフト・コンパウンドのタイヤによって、大量のラバーが路面に付着するため、週末にかけてタイヤのグリップ・レベルが飛躍的に上昇する。しかし今年は1セットのタイヤでレースを走り切らなければならなくなったため、こうした傾向はやや変わるかもしれない。モナコでは事実上、追い抜きができないから、レース戦略が重要な要素となることだろう。」
マリオ・タイセン(BMWモータースポーツディレクター)
「モナコではまず予選で上位になること、次いでスタートが重要だ。公道レースでは、通常、路面の摩擦係数が大きく変動するため、適正なグリップ・レベルを見つけるのが難しいのだ。ヴァッレルンガのテストでは、スタートの練習に重点を置いた。結局はドライバーの素早い反応とクラッチの正確なコントロール、そしてトラクション・コントロール・システムによる最適な加速が組み合わさって、初めて良いスタートが可能になるのだ。モナコはエンジン・パワーだけでは勝てない。しかし比較的低い回転域で、優れたドライバビリティを発揮すれば、大きなメリットとなるだろう。コースが改装されたことで、港に面したラスカス・コーナーは以前ほどタイトではなくなった。昨シーズンのF1で、エンジン回転数を5、000rpmまで落とし、1速で走るコーナーは、ローズ・ヘアピンだけだったがね。ひとつ気がかりな点を上げれば、来年はこのような走り方をする必要のあるコースで可変式吸気マニホールドを装備できないことだ。現在は吸気マニホールドの長さを調節することで太いトルクを生み出すことができるが、このテクノロジーは将来のV8エンジンでは禁止される予定になっている。」