ペーター・ザウバーは、彼が元ワールドチャンピオンのジャック・ビルヌーブを契約したことを後悔しているかもしれないとの憶測を繰り返し否定した。彼としては、ビルヌーブがルノーでの3レースですぐに結果を出せるとは、最初から考えていなかったというのだ。
ビルヌーブと入れ替わる形でルノーへ移るジャンカルロ・フィジケラとフェリペ・マッサのコンビが合計34ポイントを獲得し、実り多いシーズンを過ごしたザウバーだが、チームボスのペーター・ザウバーは、シーズンの比較的早い時期に2005年のラインナップを確定したことに後悔はないという。
「私にとって意外だったことは何もない。契約交渉の過程で、このことはジャックにも伝えていたんだ」と、彼はビルヌーブが期待されたほど活躍できなかったことについて述べた。「彼のカムバックは、まさに私が予想したとおりになった。ごく当たり前のことだ。F1ドライバーが1年間休んだ後、新しいチームで走るとなれば、テストとレースの両方でそれなりの距離をこなさなければ、本来のパフォーマンスは発揮できないだろう」
「まったく心配はしていない。ジャックは冬の間のテストで完全に復調するはずだ。彼と共に成功を勝ち取るのを楽しみにしている」
また、今年多くのレースでポイントを手に入れたフィジケラとマッサのコンビについてコメントを求められたザウバーは、この2人の活躍を絶賛した。
「今年の2人のドライバーについてはきわめて満足している。ジャンカルロはまさに私たちが彼に期待していたものをもたらしてくれた。彼は速く、安定していて、ほとんどミスをしなかった。フェリペも持ち前の速さに加え、シーズンが進むにつれて明らかに安定感を増してきた」
「オーバーテイクに関しては、フェリペは特別な才能に恵まれている。今年彼ほど多くのライバルをオーバーテイクしたドライバーはいないだろう。彼はファイターだ。来年はさらに多くの場面で私たちを喜ばせてくれると確信している」
しかし、いわば彼のチームを“踏み台”にしてトップ4チームのひとつへ移籍したフィジケラに対して、ザウバーはちょっとしたあてこすりを言いたいという欲求に抗することができなかったようだ。
「他チームの代表たちが急にジャンカルロに興味を示し始めた理由のひとつは、私たちが彼に速い車を与えたことにある」と言ってザウバーはニヤリと笑う。「私は彼の今後の活躍を祈っている。しかし、ことによると、彼の羨ましげな眼差しがしばしば私たちのピットの方に向けられる、なんてことになるかもしれないね……」