シルバーストンを管理する英レーシング・ドライバーズ・クラブ(BRDC)が、イギリスGPの救済に乗り出しているブランド・シナジーと契約を結ばない場合、2005年は同GPがドニントン・パークで開催される可能性がでてきた。
ブランド・シナジー社長のキム・コックバーン氏は、グループにとって重要なことはイギリスGPの存続であって開催地ではなく、シルバーストンは第一候補であるもののドニントンでの開催もありうると語った。コックバーン氏は英デイリー・テレグラフ紙に対し、次のように語った。「私たちはイギリスGPの開催について7年契約の合意に達している。バーニー(エクレストン)と私が次回顔を会わせれば、すぐにでも契約にサインする予定だ。レースをどこで開催するにせよ、ピットとパドックを新しく作らなければならない。従って、ドニントンであろうとシルバーストンであろうと、どちらでレースを開いても同じことだ」。とはいえ、エクレストンもBRDCのCEOアレックス・フートンもコックバーン氏の言う7年契約の存在について今のところ明らかにはしていない。
ドニントン・パークはイギリスのMotoGPのホームグラウンドとして最もよく知られるサーキットだが、近代のF1イベントも1993年に1度ヨーロッパGPをホストしたことがある。レースは大雨のコンディションのなか、スタートで5位に後退したアイルトン・セナがファーストラップでライバルたちを次々と抜き去ってトップにたち、見事優勝を飾った。もっとも、ドニントン・パークはシルバーストン以上に改修工事が必要なサーキットで、近年のシルバーストンのような周辺道路の整備もこれからのこととなる。
イギリスGPは、BRDCがエクレストンから要求されたホスト料を準備できなかったため、先週カレンダーからの脱落が明らかにされた。その後、BRDCとエクレストンの間で様々な案が出されていたが、イギリスGPのカレンダー復活に向けた本格的な動きはブランド・シナジーが表舞台に出てきてからのことだ。「私たちのもとには現在2億ポンドの金がある。しかもコマーシャルパートナー抜きでの話だ。BRDCは私たちの提案について十分時間をとって考えているが、2005年のイギリスGPは私たちが主催しプロモートすることは間違いない」と、コックバーン氏は語っている。
いまのところ、どこから話を通していったらいいのかという問題もある。BRDC会長のジャッキー・スチュワートは、ブランド・シナジーはBRDCとの話し合いを終わらせてエクレストンと契約を交わすべきだと考えている。一方、エクレストンは、ブランド・シナジーとBRDCが話し合った上でイベント開催の契約を締結すべきだという考えをもっている。イギリスGPを巡って激しいやり取りのあった先週は明らかになっていなかったが、現在はエクレストンもBRDCも、数カ月に渡ってブランド・シナジーと話し合いをしてきたことを認めている。