日曜日、全78周のモナコGPを終えて、フェラーリのジャン・トッド監督が口にした言葉は「失望」だった。1位を走っていたミハエル・シューマッハーがリタイアしたとき、トッド自身も、ドライバーも、チームも失望を感じた、と彼は表現した。
「何と言ってほしかったんだい?」と、トッドは尋ねた。そして、シューマッハーが全78周レースの46周目でリタイアし、開幕連勝記録を更新できずに終わった、その原因となった事故について説明した。「セーフティカーがピットに戻りそうになり、リスタートに備えて、ミハエルがマシンを準備しようとしていたとき、彼は(ファン−パブロ)モントーヤにぶつけられた。そして、スライドしてフロントウイングを損傷し、不運にもリタイアを余儀なくされたんだ」
「セーフティカーがコースに出ているときには、起こりうることだ。ドライバーたちは、レース再開に備えてマシンを準備しようとする。その準備のときに、あの事故が起こったんだ」
「あれは諦めきれない事故だったが、あれもレースの一部だ」と、トッドは続けた。「一方、私たちは今季きわめてセンセーショナルなスタートを切っており、それがモナコGPでも続くことを期待していたのだが、いくつもの出来事のせいで不可能となった。というわけで、1週間後に行われる次のヨーロッパGPに取り組むために、私たちはこれまでの様々なイベントを分析しなくてはならない。また再び優勝を挙げるために、それが最良の方法だ」
しかしトッドは、事故が起こるまでのチームのパフォーマンスについては、楽観的な見方を崩していない。「ルノーが優勝したのだから、彼らの方が強かった。しかし、私たちも戦える位置にいた。ルノーにはとてもよいマシンがあり、バランスもよくて、モンテカルロのレースに合った、非常によいパッケージだったようだね。私たちは、レースでは自分たちの方が少し速く走れるのではないかと思っていたのだが、コース状態と気温と路面につくラバーなどによって、期待していたほどは速く走れなかったようだ」
「ここは特別なサーキットだが、私たちは競争力を発揮できるような作戦を持っていたと思う。残念ながら、レース中の事故によって、その作戦を見せることができなかった。というわけで、モンテカルロはフェラーリにとって、シーズン最高の一戦にはならなかった。ルーベンス・バリチェロは3位に入ったけれどもね」
トッドは、モナコ特有の性格がシューマッハーの事故の原因となったとは、認めようとしなかった。
「モンテカルロが非常に特殊なサーキットであることはわかっているし、私たちもそれを受け入れていると思う。モンテカルロは大いに魅力的だし、それは確かに、モーターレーシングの――F1の遺産のひとつであって、間違いなくポジティブな部分だ。でもネガティブな面もあって、それはほかのサーキットよりも複雑だ。とはいえ、オーガナイザーには大いに感謝すべきだ。新しいピットレーンや、ガレージや、すべてに関して、素晴らしい仕事を成し遂げたんだからね。彼らは頑張っているよ」