F1世界選手権は、前回の高速バルセロナから、今週末は低速のモナコへと移動。低速といっても、難しさという点ではひけをとらない。モナコ・グランプリはF1のエッセンスが凝縮されたイベントといえる。モンテカルロ市街地の狭いコースでは、ミスが許容されるマージンはほとんどなく、ドライバーの技術が極限まで試される。
モナコ公国でグランプリが開催されるのは今回が51回目で、ミシュランはここで誇らしい記録を持っている。ミシュランの最初のF1活動期には、1979年ジョディ・シェクター(フェラーリ)、1981年ジル・ビルヌーブ(フェラーリ)、1984年アラン・プロスト(マクラーレン)が勝利。復帰後も、2002年デビッド・クルサード(ウェスト・マクラーレン・メルセデス)、2003年ファン‐パブロ・モントーヤ(BMWウイリアムズF1チーム)が勝っており、今シーズンは3連覇を狙っている。
ピエール・デュパスキエ(ミシュラン・モータースポーツディレクター)
「モナコはF1カレンダーのどのレースとも違う。どのコースとも似ていないし、技術的には前回のバルセロナの対極にあるといえる。スペインGPでは摩耗率が非常に高いコンディションに対応するためにハードなタイヤを使ったが、モナコでははるかにソフトなコンパウンドを使う。特別なアプローチが必要なレースなのだ。しかし過去2シーズンの成績が証明している通り、ミシュランはその課題をこなす力を持っている。楽しみな週末であり、3連勝を達成する自信はある。」
パスカル・バスロン(ミシュランF1プログラムマネージャー)
「モナコの準備は他のイベントより大変だ。なにしろ現地テストができないし、似ているサーキットなどどこにもないからだ。低速でタイトなコースだが、路面の摩耗率はそれほど高くない。ドライバーに心理的な圧迫感を与える“バリア要因”は大きい。サーキット全体でガードレールがすぐ脇まで迫っているので、ドライバーはそれにドライビングスタイルを合わせなくてはならない。我々はここ数シーズンの間に、他のサーキットでのテストデータからモナコでのタイヤのパフォーマンスを類推する評価手法を確立している。南仏のポールリカールで最近行ったテストセッションの結果をもとに、今年はドライタイヤで3種類の選択肢を用意する。」
ファン‐パブロ・モントーヤ(BMWウイリアムズF1チーム)
「モナコではタイヤで大きな差がつくんだ。週末が進むにつれて路面のグリップがどんどん上がっていくから、使うコンパウンドを決めるときにはよく考えなくてはいけない。大事なところでの速さ、とくに予選での速さは必須だからね。ミシュランはどう対応すればいいかわかっているし、この2年間はタイヤによるアドバンテージがはっきりとあった。僕は2002年にポールポジションを獲り、去年は勝てた。今週末もミシュランはとてもいいタイヤをつくってきてくれるはずだ」