F1の首領バーニー・エクレストンは、新しい近代的なサーキットが次々と完成している今、このままではイギリスGPの将来は保証できないと示唆する発言をしばしば行ってきた。だが、先日このイベントの興行契約をFOAが買い取ったことで、イギリスGPの未来は実質的に完全に彼の手に握られることになった。
これまで同GPの興行権を所有していたインターパブリック社の経営難に端を発する紆余曲折は、その興行権をエクレストンのFOA(フォーミュラワン・アドミニストレーション社)に譲り渡すという形でようやく決着を見た。先月発表されたインターパブリック社の年次営業報告書によると、このまま契約を履行した場合、同社はイギリスGPの開催とプロモーション、およびその契約の一部としてのシルバーストン・サーキットの借り上げと改修工事のため、2015年までに約4億6000万ドルの支出を余儀なくされることになっており、経営建て直しのためには契約を破棄した方が賢明と判断したようだ。
契約とそれにまつわる義務の解消に関する合意は、今年のイギリスGPの翌日に発効し、インターパブリック社とその子会社であるシルバーストン・モータースポーツ・リミテッド社は2015年まで同レースを開催し続ける義務から開放される。契約の早期解消の代価として、インターパブリック社はFOAに対して9300万ドルを支払うことに同意したという。
ただし、インターバプリック社のシルバーストン・サーキットの賃借に関する契約は依然として有効であり、英国レーシングドライバーズクラブ(BRDC)に対する義務もそのまま継続する。こうした契約を段階的に処理するために、インターパブリック社は2007年末までにさらに6200万ドルの支出を見込んでいる。
シルバーストン・サーキットの“大家”であり、ウッドコートコーナーのイン側にクラブハウスを持つBRDCは、契約をFOAに譲渡するというインターパブリック社の決定を歓迎すると共に、エクレストンに対してイギリスGPが再びF1シーズンの珠玉のひとつに数えられるように努力することを求めた。
同クラブが発表した公式声明は次のように述べている。「エクレストン氏がシルバーストンでのイギリスGPを維持したいと望んでいることを期待しつつ、われわれはFOAによるイベント開催権の買収を歓迎する。イギリスGPの将来の成功と安定のためのエクレストン氏のプランについてうかがう機会を楽しみにしている」