本田技術研究所のエンジニア達は、バーレーンサーキットのレイアウトやコース特性に加え、高温さらに砂漠特有のコンディションに合わせたバージョンのエンジンを準備して来た。バーレーン南部のサキールに総工費1億5千万ドルをかけて建設された新サーキットは、まさにF1GPを迎えるために作られたコースである。
チームはこれに先駆けて、南仏ポールリカールサーキットで、2台のマシンによる3日間のテストを敢行。初日は佐藤琢磨と第3ドライバーのアンソニー・デビッドソンが合計で242周を走行し、それぞれ3、2番手のタイム。そして2日目からは、佐藤とジェンソン・バトンがテストを担当した。バトンはこの日、120周を周回。1分11秒04のベストタイムで、総合トップの速さを披露した。バーレーン用エンジンも、予定されていた周回距離を問題なく走り切っている。
バーレーンでのHondaディストリビューターであるナショナル・モーターカンパニーは1988年の創業で、年々Honda車の売り上げを増やし、特に過去2年だけで80%も販売台数を伸ばしている。ちょうどバーレーンGP開幕直前の4月1日には、48台分の整備スペースを誇る工場を併設し、一度に28台を展示できる最新鋭のショールームがオープンすることになっている。すでにここにはB・A・R Hondaマシンが展示されているが、開所式にはHonda本社の首脳陣に加えて、B・A・R Hondaのドライバーも出席する予定である。
●中本修平 エンジニアリング・ディレクター Honda Racing Development
「当初の目的だった表彰台獲得をマレーシアで果たせて、最高の気分です。バーレーン用エンジンは、ポールリカールでのテストでさらに進化を重ねました。F1初開催のバーレーンで、我々の最新技術とエキサイティングなレースを披露することを楽しみにしています」
●ジェフ・ウィリス B・A・Rテクニカル・ディレクター
「セパンでは車体、エンジンともに信頼性の問題が起きた。Hondaはエンジントラブルの原因を調査しており、我々は車体側の解決策をポールリカールで試した。全員が白紙の状態で戦うという意味で、新しいサーキットで走るのは楽しみだね。バーレーンはミシュランのタイヤに合っているはずだし、我々もマレーシアで高温下でのタイヤの使い方を十分学んだ。ここでも目標は表彰台獲得と、2台揃っての入賞だ。表彰台に上がれる実力はすでに証明したのだから、今後はそれをコンスタントに実現させたいね」
●デビッド・リチャーズ Lucky Strike B・A・R Honda代表
「マレーシアでの表彰台獲得は、もちろん嬉しいことだ。おまけに今回はジェンソンにとって初めての経験だった。これまで彼とチームは、ものすごい努力を重ねてきており、嬉しさもひとしおだ。ただし、この結果が我々の目指していた終点でないことは言うまでもなく、我々の目標はあくまで頂点に上ることだ。今季の目標であるチーム初優勝を目指し、これからもプッシュを続けて行く」