F1は“リフレッシュ”のために、新しいワールドチャンピオンを必要としている――それが、元F1ドライバーのジョン・ワトソンの意見だ。
F1で、1982年にドライバーズ選手権2位タイを獲得し、1974年から81年にかけての現役時代にグランプリ5勝を挙げているワトソン。彼は英サンデー・ミラー紙に対し、マクラーレン・メルセデスは今季、(デイビッド・クルサードにとっては遺憾なことに)キミ・ライコネンに全力を注ぐだろうと語った。
ワトソンは、同紙にこう語っている。「デイビッドは今年、マクラーレンにとって重要な役割を担うことになるだろう。だがそれは、自分自身をF1ワールドチャンピオンにすることではない。彼の役目は、キミが勝つのを助けることだ」
「マクラーレンは、ひとりのドライバーを優先するポリシーで行くだろう。彼らとしては、それを認めないだろうがね。彼らは、ジョイント・ナンバーワン体制で、2人のドライバーに平等なチャンスを与えるのだと主張する。だが実際は、キミの方が、チャンピオンを獲得する可能性が高いことを承知しているのだ。だからこそ、キミは来年も残留し、デイビッドは残留しないというわけだ」
「もし、マクラーレンがその可能性を最大限にしたければ、キミを後押しする必要がある――デイビッドもそうしなくてはならない。そういうふうになるはずだ」
ワトソンは、こう付け加えた。「2年前、ライコネンがマクラーレンに加わるやいなや、彼がチームの将来を担うことがはっきりした。まさにその通りになったというわけだ」
「彼は、速さも気質も安定性もあることを証明しているし、マクラーレンのドライバーのどちらかが今年チャンピオンを獲る可能性があるとすれば、それはライコネンの方だ」
ワトソンはまた、フェラーリとミハエルにとって、もうひとつの脅威となりうるウイリアムズについて、ことによると遅れを取るかもしれないとコメントした。ウイリアムズは、ドライバーの状況が現在のところ不安定だからだ。ファン−パブロ・モントーヤは2005年にマクラーレンに移る契約をすでに結んでおり、ラルフとチームの話し合いは止まってしまっている。
「2人のドライバーに競い合うことを許すというウイリアムズの哲学は、賞賛すべきだ。しかし、彼らは過去に、その哲学のせいでチャンピオンを逃しているし、また同じことが起こるかもしれない」と、ワトソンは予測した。
「ウイリアムズは来年、ドライバーを2人とも失うという珍しい状況になるかもしれない。モントーヤは間違いなくマクラーレンへ移るし、ラルフの契約交渉は頓挫していて、将来ははっきりしない。いいチームもマシンもあるが、ドライバーの面がかなり予想しにくい。フェラーリとマクラーレンの思うつぼになるかもしれないのだ」
誰が今年のタイトルを獲るか、ということに関しては、ワトソンの望みはひとつだけだ。すなわち、ミハエル・シューマッハー以外の誰かであってほしい、ということなのだ。
「F1には新しいチャンピオンが必要だと思う。ミハエルはここ4年間、そして合計6回もチャンピオンを獲っている。おのずと分かるとおり、驚くべき記録だ。だが、F1シーンにはリフレッシュが必要だ」
「去年は、マクラーレンにもウイリアムズにもチャンスがあったが、それをつかめなかった。しかし、フェラーリはとても信頼性の高いマシンだし、彼らにはミハエルがいる。ミハエルの敗北に賭けるのは難しいし、誰かがミハエルを負かすには、ものすごく頑張る必要があるだろう」
「だからこそ私は、マクラーレンがキミに力を集中するだろうと確信しているんだ」