ネルソン・ピケJrは、先々週のルノーのテストとGP2での経験を比較し、来年のF1マシンが関係者のいうような技術の試金石とはならないかもしれない、と述べた。
来季F1のレギュラーシート獲得を目指しているピケは、ルノーF1の公式ウェブサイトで、まもなく禁止されるトラクションコントロールシステムの搭載されたF1マシンは乗りこなすのが簡単だったと語った。また、ピケは2006年にGP2で選手権2位を獲得しているが、そのGP2マシンと比較すると、たくさんの電子機器を取り去られる新種のF1マシンもさほど扱いづらくなかった、とも評した。
「ドライバーエイドがあるとこんなに簡単なんだということにビックリしたよ――マシンが暴れることも少ないし、ためらわずに縁石に乗っていくことができるんだ」とピケは語った。彼は2008年型のGP2マシンをコース上でテストしている。
「ラインを外れることなく、思い切りアクセルを踏めた。ECUが仕事を引き受けて、グリップに応じてパワーをかけてくれたからね。タイムのことを考えるとすごくいいことだけど、取り立てて特別な能力は必要とされなかった」
「(トラクションコントロールがないと)すごく難しいだろうと思っていたから、嬉しい驚きだった。僕が経験したGP2カテゴリーでは、マシンにかなり強いダウンフォースがかかるし、ドライバーエイドなしでスリックタイヤで走る。マシンに乗っている時は、正直言って、常にすごく忙しいんだ」
「ある意味では、トラクションコントロールなしのF1マシンをマスターするのは、GP2マシンに慣れるより簡単だ。V8エンジンになったことで、F1ドライバーへの移行が簡単になったということもある。トラクションコントロールなしのV10だったら、はるかに手強く、もっとドライブしにくかっただろうね」
ピケは、”よりシンプルな”F1マシンに合わせるために、ドライビングスタイルを変更しなくてはならなかったと認めた。
「確かに、2008年のマシンは2007年のマシンのようにはドライブできないよ!」とピケ。
「位置取りをもっとずっと慎重にしなくちゃならない。それは、以前の方がずっと簡単だった。スライドの仕方をよくコントロールして、右足に注意を払う必要がある。ドライバーにとってははるかに楽しくなるよ」
「もちろん、しばらくは、ラップタイムは前と同じようにはいかないだろう。でも間違いなく、昨シーズンのレベルまで徐々に回復していくと思う。ただ新しいセットアップに慣れて、自分の目印を見つければいいだけだ」
「最大限のトラクションを得るために、リヤサスペンションをより柔らかくする必要があるだろうし、他車の後ろを走り、オーバーテイクを試みるときには、タイヤの摩耗にもかなり気をつけなければならないだろう」
「トラクションコントロールがついた状態でいいマシンなら、それがなくなってもいいマシンだろうね」