バーニー・エクレストンは、先月のブラジルGPでBMWザウバーとウイリアムズのマシンを失格にしなかった判定に対して、マクラーレン・メルセデスが起こした控訴が認められるようであれば、彼自身がF1から手を引く可能性もあると述べた。
ザウバーとウイリアムズの4台のマシンはシーズン最終戦の終了後に検査を受け、レース中に規定より温度が低い燃料を使って走っていたことが明らかにされたが、インテルラゴスのレーススチュワードは、これらのマシンを競技結果から除外しないことを決めた。 もしこの4台が失格とされれば、選手権タイトルがルイス・ハミルトンの手に渡る可能性が出てくるため、マクラーレンチームはスチュワードの決定に対して控訴している。
この件は今週木曜日の午前10時にロンドンで(当初はパリで行われる予定だった)開かれるFIA控訴裁判所で審議され、その裁定によって今年のF1ドライバーズ選手権の結果が最終的に確認される。
「F1ファンは燃料の温度が5度ほど違っていたという理由でチャンピオンが決まるのを望んでいないと思う。しかもその温度は実際には正確に測りようがないんだ」と、エクレストンはザ・タイムズ紙に対して語った。
「そのような形(でチャンピオンが決まるの)がF1にとって最良の解決だと考える人物がいるのであれば、私はこの世界から手を引くことを真剣に考えるだろう」
だが、過去の歴史を見る限り、マクラーレンの控訴によって控訴裁判所が競技成績の改定を命じる可能性はきわめて低いように思える。実際、控訴審で逆転裁定を勝ち取ったのは、8年前にマレーシアでバージボードの寸法違反のため失格とされたフェラーリの控訴の例があるのみだ。
それに加えて、エクレストンはウイリアムズとBMWの違反は、ブラジルでのプラクティス中にマクラーレンが犯した違反と同レベルのものにすぎないと考えている。マクラーレンはそのプラクティスで誤ってタイヤを1セット多く使ってしまったが、その違反に対する処罰は小額の罰金と問題のタイヤの没収だけだった。
「私はおそらく何も変わらないだろうと思っている」とエクレストン。
「私の考えでは、レースの結果を改める必要はない。それが規則違反だったことは確かだ。だが、同じ週末にマクラーレンは使うべきでなかったタイヤセットを使っている。それも違反だ。もしもこの控訴審でレース結果が覆るのだとしたら、おそらく控訴審はタイヤの一件に関してもそれと同じように扱うだろう」
その一方で、エクレストンはマクラーレンのボス、ロン・デニスが土壇場で控訴を取り下げる可能性にも期待しており、「ロンにも本気でこの争いを続けていくつもりがあるとは思えない」と付け加えた。
またハミルトンは、この控訴によってタイトルを手に入れることは望まないと、これまでに繰り返し発言している。