ここ数年のF1は、2大タイヤメーカーがし烈な戦いを繰り広げてきた。しかしミシュランが撤退を決めたことで、2007年からはブリヂストンワンメイクのレースとなる。そんな来季を展望するとき、ブリヂストンタイヤを使い慣れたフェラーリが優位に立ちそうだというのが、現時点での中本STDの予想だった。
−とはいえ2003年まではHonda(B・A・R Honda)も、ブリヂストンユーザーだったわけですが。
「それはもう全然、関係ないです。(あの当時のブリヂストンは)こういう特性ではありませんでした。ワンメイクになることで、それをどこまで戻してくるのか、今はわかりません。でも浜島さんたち(浜島裕英モータースポーツ・タイヤ開発室長)は、ここ2年ほどで凄いことをやったと思いますよ」
−2003年以前の特性に戻ることは、ありえない?
「それはわかりません。FIAから、タイヤだけで1周2秒遅くするように言われていると聞いています」
−1周2秒というと、大ざっぱに言って2003年レベルの速さまで戻るぐらいでしょうか?
「そうではありません。トップチームのクルマは、毎レースだいたいコンマ1秒ずつ速くなっています。2連戦のときは、テストのあとにコンマ2秒速くなります。それでシーズンが終わってから平均すると、1戦コンマ1秒という感じですね。18戦あると、クルマだけで1年に1.5秒ぐらい成長します。タイヤでコンマ5秒とか、多い年では1秒ぐらい速くなるんです。マレーシアみたいに、前年より4秒も速くなったレースもありました。あれはクルマとタイヤで、2秒ずつという感じです。その意味では2003年レベルより、はるかに速くなっていると思います。ブリヂストンに限っても、去年から今年にかけての伸びしろは、ものすごいですしね」
−そのブリヂストンの特性に慣れるのに、冬のテストだけではとても足りそうにない?
「冬のテストでこうだってわかって、それから準備にかからないといけませんから。それに何といっても、冬のテストは気温が低いので、ちゃんと暑いところで走ってみないと、わからないことは多いです。前回話した、タイヤの見え方がありますね。使えるか、使えないのかという外観からの劣化の判断ですが、その見え方にしても、冬のテストと暑いときとでは、当然違ってきます」
−その辺を含めて、フェラーリの優位でシーズンが推移するだろうと。
「フェラーリをわれわれとルノー、マクラーレンが追いかけるという、2004年の状況に戻ると思いますよ」
−2004年のような、フェラーリのぶっちぎりになってしまうかも。
「いやいや、それでは、面白くない。だからそうはさせじと、今必死にやっているんです」