2006年F1世界選手権の最終戦ブラジルGPは今週末、同国サンパウロのインテルラゴス・サーキットで開催される。路面が悪く、過酷な天候ではあるものの、ここでのレースが最高に見ごたえのあるものになることは、間違いないだろう。
このレースはHonda Racing F1 Teamにとって、ブラジル人ドライバー、ルーベンス・バリチェロの自国GPというだけではない。9年間F1に関わり、チームのかつてのオーナーであり、またチームのタイトルスポンサーでもあるブリティッシュ・アメリカン・タバコにとって、最後のレースでもある。
7月のドイツGP以来すべてのレースで入賞を遂げてきたHonda Racing F1 Teamは、ここでコンストラクターズ3位チームとのギャップをさらに縮める最高の成績を挙げ、有終の美を飾りたいところだ。また、ジェンソン・バトンは初優勝を遂げたハンガリーGP以降日本GPまで、最も多くのポイントを獲得したドライバーである。
■ルーベンス・バリチェロ
「ホームレースであるブラジルGPは、僕にとってもちろん特別なグランプリだ。そして、いつだってプラスアルファの力を僕に与えてくれる。僕が生まれたのもインテルラゴスのすぐ近くだったし、レーシングドライバーへの夢をはぐくんできたとき、いつも間近にこのサーキットがあった。ここで初めてF1を観たのは、1980年。ルネ・アルヌーがエリオ・デ・アンジェリスを破ったレースだった。それ以来、F1ドライバーになって勝ちたいという気持ちは、いっそう膨らんだものさ。今までここで一度も勝てていないのは、本当に残念だ。特に2003年は、優勝に手が届きかけていながら、燃料トラブルでそれが果たせなかった。あの年のマシンは本当に頑丈にできていたのに、よりによって僕の自国GPであんなことが起きるなんてね。 このコースは反時計回りのうえに、路面の凹凸がひどい。だから体力的には、非常にきついんだ。難易度は高くないという人もいるけど、僕はそう思わない。低速区間と高速区間を高いレベルで両立させるマシンセッティングは、そう簡単にはできないからね。低速でのグリップを重視したら、長い直線での最高速が犠牲になる。そうしたらレース中、簡単に抜かれてしまうよ。 自国GPのありがたい点は、サーキット外にもたくさんある。家族といっしょにいられるし、毎晩自宅に帰って、自分のベッドで眠れる。それらはみんな、レースの上でも大きなプラスになるんだ。この週末はてんやわんやの忙しさで、あっという間に時が経ってしまう。でも僕にとっては、1年で一番楽しいGPのひとつであることは、間違いないよ」
■ジェンソン・バトン
「かなりのポイントを手に最終戦に赴けるというのは、すごくいい気分だね。シーズン後半、僕らがいかに大きな進歩を果たしてきたかが、この結果に出てるんだと思う。来シーズンのことに思いをはせるのは、まだ早すぎるのはわかってる。でも最終戦でいい結果を出せば、その勢いが2007年に持続するからね。 僕らはブラジルでも、ここ数戦で見せたのと同じような速さを披露できると思う。日本GPから投入したエンジンはすごくタフだし、車体もこのコースに合ってる。反時計周りで凹凸路面のサーキットは、肉体的にはきついけど、走っていて楽しいよ。すばらしいクライマックスになるんじゃないかな」