トヨタのテクニカルディレクター、マイク・ガスコインは日曜の夕方、上海インターナショナル・サーキットを複雑な気持ちで後にした。ラルフ・シューマッハーが改良型TF105Bで表彰台に上ったのは嬉しいが、チームが年間ランキングで3位になれなかったのは残念に思っていたのだ。
今年の選手権は、トヨタチームは幸先のよいスタートを切った。ヤルノ・トゥルーリがマレーシアとバーレーンで連続2位を獲得し、スペインでは3位を獲得したのだ。しかし、その後はハンガリーでラルフ・シューマッハーが3位に入るまで、トップ3には復帰することができなかった。そして、次に表彰台を獲得するには、最終戦まで待たねばならなかった。ガスコインの考えでは、もっとコンスタントな強さがあれば、トヨタはコンストラクターズの総合ランキングでフェラーリを破って3位になれたはずだ、ということだ。
トヨタはフェラーリに12点及ばずに中国GPを終えたが、レース後にガスコインは、ロイター通信に対してこう語った。「私たちは4位だったが、3位になれたはずだった。インディアナポリスがなければ、そして自分で自分の足を引っ張ったりしなければ、3位になれていただろう。残り4戦か5戦となったところで、私たちは3位でフィニッシュできるだけの速さを手に入れていたんだ」
トヨタが2005年に獲得した88ポイントという数字は、同チームがF1で、それまでの3年間に獲得したポイントの3倍以上にあたる。また今季は、初のポールポジションや初の表彰台も獲得できた。しかし、ひとつだけ欠けているものがある。プログラムに投入されている予算を正当化するためにも、それをぜひとも来季は獲得しなくてはならない、とガスコインは承知している。
「私たちはレースに勝ち始めなくてはならない」とガスコインは認めた。「もし運があれば、今季も優勝は可能だったし、来季も可能なはずだ。(フェルナンド)アロンソがいくつかのレースでエンジントラブルを起こしていれば、今年のうちに優勝できていただろう。だが、私たちはなすべきことがわかっていることを証明できたと思うし、また同じステップを踏めばいいだけのことだ」
ガスコインは、来季も同じドライバーたちと仕事をすることに満足している。トヨタが2年連続して同じラインナップでスタートするのは、今度が初めてのこととなる。
「ふたりとも、たくさんのポイントを獲得してくれたし、3位はチームにとって素晴らしいリザルトだ」とガスコインは語り、それからこの2人が同じイベントで同時に活躍することがなかった点を指摘した。
「ヤルノはいい流れを持ち込めていた。レースでいい成績が出して、いい位置から予選に出走し、いい予選結果を得て、いい成績を出した。その後、(鈴鹿で)佐藤琢磨ににぶつかられて、1年の終わりは逆のパターンにはまってしまった」
「ラルフはその反対だった。ヤルノほどの予選成績はなかったが、最後の何戦かの予選で、非常に手堅い結果を残した。彼はいざという時になると、いいレースをする。ラルフのいいところは、一度感じをつかむと非常にコンスタントだということだ。マシンがよくて、仕事をする必要があるときに、とてもうまくやってみせたよ」