ブリヂストンは、来季からユーザーチームが増えることでミシュランへの巻き返しができるだろうと述べた。一方で、フェラーリとは今後も特別な関係を続けていくことを望んでいるという。
ブリヂストンは先週、ホームイベントとなる鈴鹿GPと1週間後に行われる上海での最終戦の準備のために、ポール・リカールでテストを行い、タイヤ選択を行った。今年は、精力的にタイヤテストを行ってきたものの、これまでほとんどコンペティティブな走りを見せてこられなかったフェラーリとブリヂストンは、今季最後の2戦での好成績を目指している。
ブリヂストンのモータースポーツタイヤ開発総括責任者、浜島裕英は次のように語った。「今年の状況を招いた理由の1つは、レギュレーションが大幅に変わったことにある。新ルールでは、レースディスタンスにおける耐久性とともにコンペティティブなラップタイムを刻むタイヤを製造しなければならない」
「はじめは、レギュレーションに対応した耐久性のある構造をしたタイヤを作ることに専念した。もちろん、耐久性はとても重要な要素だ。特に、安全性の面からね。そして、耐久性の開発で満足のいくものができたと思った後、コンパウンド面の作業にとりかかった」
「しかし、今年は、約350kmに及ぶレース距離における耐久性チェックをしなければならない。去年は、同じ距離で3つのタイプのコンパウンドやスペックを試すことができた。昨年以上の長い距離においてコンパウンドテストを行うことになり、評価テストにかなり時間がかかるようになった。そのため、新スペックの開発に時間がかかり、開発作業がなかなか進まなくなってしまった」
現在、F1各チームは2006年用のマシン開発に取り組んでいるが、ブリヂストンのタイヤエンジニアたちも来季用のタイヤ開発を急いでいる。フェラーリと共同で集めたデータをフル活用するのはもちろん、来季からミナルディ、ジョーダン、フェラーリに加えてウイリアムズへのタイヤ供給が決まり、ブリヂストンはさらに多くのトップチームとテストを行ってデータを手に入れていこうとしている。
「これはとても重要なことだ。新たに加わるチームはすでに、私たちのみならず、フェラーリとも共同で作業したいと言っている。会議には彼らのテクニカルディレクターたちも参加する予定だ。私たちのトラックで行われるテストのデータをみんなで共有していきたい。これによって、開発スピードがかなり速くなると信じている」
今年の低迷は、ブリヂストンユーザーの中でフェラーリ以外にトップチームがないという状況に原因があったのかもしれないが、ブリヂストンもフェラーリも、同じ状況であってもかつての異なるタイヤルールのもとなら別の面でとても有利だったと認める。浜島氏は、今後もフェラーリとの特別な関係を続けていきたいと望んでいる。
「フェラーリと今後もコラボレーションを結び、いい関係を続けていきたい。私たちは、テクノロジーについて高度な知識を有するフェラーリからとても多くのことを学んだ。彼らの知識はブリヂストンのタイヤ開発にとってとても重要なものである。2006年から加わるチームが私たちとのコラボレーションを希望するのなら、私たちはそうするつもりだ。しかし、私たちがフェラーリに対して供給してきたリソースを減らすつもりはない」