シーズンの終わりが近づき、パートナーチームがタイトルをつかむ可能性は両選手権ともなくなったわけだが、まだブリヂストンは2006年シーズンに向けて気持ちを切り換えようとはしていない。天候の予想の難しいブラジルGPでは、状況が一気に逆転する可能性があると信じているからだ。
インテルラゴスとサンパウロの天気は、チームとドライバー、そしてタイヤサプライヤーにとってもトリッキーな週末をもたらす要因となる。バンピーで起伏に富んだこのサーキットは、しばしば激しい雨と焼け付くような日差しに見舞われるからだ。このため、ブラジルに持ち込まれるブリヂストンのタイヤは、各チームにつき2つのスペックのドライタイヤと、すべてのパートナーチームに共通スペックのウエットタイヤおよびエクストリームウエットタイヤで構成される。
「反時計回りであることから、タイヤに関して言えば、インテルラゴスでは右の前後のタイヤの負担が大きい可能性がある」と、テクニカルマネージャーの菅沼寿夫は言う。「もうひとつの問題は、コースの路面状況を考慮しなければならないことだ。バンピーではあるものの、舗装面そのものは比較的滑らかなので、通常はできるかぎりソフトなコンパウンドを使いたいところだ。だが、リヤタイヤに大きな負担がかかるロングコーナーがいくつかあることから、このレースに向けたコンパウンドを選ぶに当たっては、リヤのデグラデーションレートを考慮する必要があった」
「アップダウンの激しいサーキットの起伏も、タイヤの選択と燃料の搭載量の両方に影響を及ぼすファクターだ。各チームは主として2ストップの戦略を採るものと予想しているが、3ストップも考えられなくはない」
「天候については、ブラジルのレースでは高い路面温度か激しい雨のどちらかに見舞われる可能性がつねに存在し、予想が難しい。こうしたさまざまな変数を考えながら、この週末に競争力を発揮する適切なタイヤを用意するために、私たちは精力的なテストを行ってきた」
先週フェラーリとジョーダンはそれぞれスペインとイギリスでテストを実施した。フェラーリはコンストラクターズ選手権でトヨタにわずか10点差に迫られており、少しも気を抜けない状況だ。また、ミハエル・シューマッハーもドライバーズランキングの3位を巡ってファン‐パブロ・モントーヤの猛追を受けている。