BMWによるザウバー買収の発表に伴って生じた興味深い問題のひとつは、彼らが‘ワークス’チームをトップコンテンダーにするための努力の一環として、現行のドライバーラインナップをどのように再評価するかという点だ。
近年ザウバーは若き才能の発掘に力を注ぎ、その成果としてしばしば予想を上回る成績を挙げてきた。だが、今年のコンビであるフェリペ・マッサとジャック・ビルヌーブは、まだこれといった結果を残していない。2002年にザウバーからF1デビューを果たしたマッサは、若手としては比較的落ち着いているものの、いまだ‘ダイヤの原石’にとどまっている。また、2004年の1年間の失業の後で復帰したビルヌーブも、さすがと思わせるだけのパフォーマンスは発揮できていない。
しかし、BMWがどのような決断をするにせよ、マッサのF1での将来は保証されているように見える。彼は2003年に実戦を休んで1年間フェラーリのテストドライバーを務めており、今年に入ってからチームへの不満を公言し始めたルーベンス・バリチェロに代わってフェラーリに復帰するとも言われている。これに対して、来年末までザウバーとの契約があるとはいえ、ビルヌーブの今後の見通しは決して明るいとは言いがたい。彼は昨年終盤にルノーでF1に一時復帰して以来、明らかに精彩を欠いており、もし2006年のシートがなくなった場合には、それほど多くの救いの手が差し伸べられるとは思えない。
彼らのうちひとり、または両方がチームを去ることになった場合、その空席を埋めるのは、今年に入ってからウイリアムズで印象的な活躍を見せているニック・ハイドフェルドになるかもしれない。ウイリアムズがテストドライバーのアントニオ・ピッツォニアと彼の“直接対決”テストを行い、最終的にハイドフェルドの起用を決めた時、多くの人は彼がドイツ人であることからBMWの後押しを受けたものと考えていた。しかし、彼はその後2回のポディウムとポールポジション1回を記録し、しばしば僚友のマーク・ウエーバーを上回るパフォーマンスを見せて、そのチーム内での地位を確かなものにしている。