BMWが22日明らかにしたところによると、同社はザウバー・チームを買収してその筆頭株主となり、来季からワークスチームを組織してF1世界選手権を戦うことになった。一方で、BMWは、現在のパートナー、ウイリアムズチームへのエンジン供給も継続していきたいとしている。
この決定は火曜日に行われたBMWの役員会で下された。これによりBMWは同社の歴史上初めて、自社チームでF1を戦うことになる。
BMWは現在のザウバーのチームボスであるペーター・ザウバーと主力スポンサーのクレディ・スイスからチームの株式の過半数を買い取り、2006年1月1日から2008年末までに同チームの実質的な経営権を掌握する。この買収によって、BMWはF1世界選手権をワークスチームで戦うためのプラットフォームを手に入れ、同時にスイスのヒンウィルにあるザウバーのファクトリーと300名の従業員の将来も保証されることになる。実際にはヒンウィルのファクトリーはBMWモータースポーツの関連会社となり、法律上は独立したスイスの会社として存続するが、今後BMWはスイスを拠点とする従業員の数を増やしていくだろう。
BMWは今シーズンの終了時点でペーター・ザウバーの持つ株を買い取り、その後2008年末までにクレディ・スイスが所有する株式を段階的に取得する。ペーター・ザウバーは今後も株式の一部を所有し続け、アドバイザーとしてBMWをアシストするが、チームボスのポジションは退くことになる。
「ザウバーにとってBMWとのパートナーシップは理想的な解決だ。なぜなら、それによって私がつねに最も重要視してきた2つの目標が支持されるからだ。第一の目標はチームにレース成績を向上させる可能性をもたらすこと。そして第二の目標はヒンウィルの施設と300名の雇用を守ることだ」とザウバーは述べた。
「6つの自動車メーカーの参入によって近年のF1は大きく変化した。特にプライベートチームにとっては、レースの成績にも直接的な影響があるしっかりとした財政状態の確保がますます難しくなっている。ここ数年、F1独特の要求の難しさを考えると、長期的な計画を持つのは決して容易ではないと感じてきた」
「BMWとのパートナーシップは継続性を保証してくれる。従業員にきわめて明るい展望を与えられるという点でも、これは理想的な解決と言える。35年以上にわたって、私はしばしば厳しい状況に直面しながらこの会社を率いてきた。だからこそ、私にとってはこの会社の未来が善き人々に委ねられることがかくも重要なのだ」
チームの新体制、および主要なスタッフとドライバーラインナップ、新チームの名称などの詳細は、経営権が引き渡されるまでに決定され、2006年の初めには新チームの発足が正式に発表される。
また、BMWはウイリアムズとの長期にわたるパートナーシップも維持したいとしており、この発表によって生じるいくつかの問題を解決するため、できるだけ早い時期にウイリアムズ側と話し合いの場を持つ考えだという。
「ウイリアムズとのパートナーシップにおいて、私たちは共にいくつもの成功を祝い、チームを前進させてきた」とマリオ・タイセンは述べた。「今日、私たちはいずれもこのジョイントベンチャーが開始されたときよりも強くなり、それぞれの将来への備えもできている。私たちのそれぞれの将来がどのようになるかは、これからの数週間のうちに決められることになるだろう」
「その決定がどうなるかにかかわらず、私たちは今シーズンの仕事に集中していくつもりだ。今年はまだ達成されていない目標がいくつかあり、ウイリアムズと共にそれを実現するために、持てる力とプロフェッショナリズムのすべてを注いでいく」