FIAが声明を発表し、アメリカGPの決勝レースへの出走を拒否したミシュランユーザーの7チームを痛烈に非難した。
　決勝のグリッド上にわずか6台しか並ばなかったことで、F1は現地のレースファンの怒りを買った。また、大勢のファンがレース中もレース後も、今後はF1を見に来ることはないだろうと強調しており、アメリカにおけるF1の長期的な将来に疑問を投げかける結果となった。
　FIAは声明の中で、バックアップ用のタイヤを持ち込んでさえいれば、たとえスピードが落ちたとしても、レースには参加できただろうとして、7チームを強く批判した。さらにFIAは、タイヤトラブルの危険を回避すべく最終コーナーでミシュラン勢はスピードを落とすことにしてはどうかというアイデアを出し、FIA側がスピードを測定し、スピードオーバーを犯したと見なされたドライバーにペナルティを科すという提案を行ったという。だが、この案はブリヂストン勢にも同様のペナルティを科されるべきであるとして、ミシュランを使用するチーム側から棄却された。その後、ミシュラン勢から“平等な条件”であるとして、シケインを急造するという提案が出された。
　しかしながら、FIAは一部のチームがレースに向けて正しい装備を用いるのを怠ったために、ルール変更およびコース変更を行うことはないという姿勢を崩さなかった。
　FIAの声明は以下のとおり。
「F1はスポーツ競技であり、明確なルールを遵守しなくてはならない。競技者がレース用に間違った装備を持ち込むたびに、そのルールが審議されるということはあり得ない」
「インディアナポリスにおいて、ミシュランから、ミシュランランナーが最終コーナーでスピードを落とさなければ、タイヤが危険に晒されるであろうという話をされた。我々FIAはスピードを落とさせねばならない状況を理解し、いくつかの提案の中からミシュラン勢のスピードをチェックし、スピードオーバーを犯した者にペナルティを科すという提案を行った。だがミシュランを使用するチーム側は、ブリヂストン勢も同じ条件でなければ賛成できないとして、その案を却下した。（その代わりに）ミシュラン勢はシケイン設置を提案してきた」

「ミシュラン勢は、ルール違反と同様にこのシケイン案も極めて不平等であるということが理解できなかったようだ。ブリヂストン勢は最適なタイヤを用意しており、彼らはスピードを緩める必要がなかった。ミシュラン勢のターン13におけるスピード低減は、的確な装備をしてこなかったことによる必然的な結果であり、F1でしばしば起こり得ることだ。また、ここで思い出されるべきは、FIAが全チームと両タイヤサプライヤーに宛てて“全ての状況に対応した信頼性のあるタイヤを製造しなくてはならない”ということを強調した内容の文書を、2005年6月1日付で送付済みである、ということだ」
「サーキットは、元々は、（ターン13があるために）超高速の性格をも備えているのだが、シケインを設置した場合、超低速でツイスティングな要素の濃いコースへと性格が変わってしまい、そこを高速走行に最適なタイヤを用意してきたマシンも含め、全車が走行しなければならなくなる。また、最新式の安全対策を施していない状態でサーキットを変更することは、場合によっては各マシンおよびブレーキに影響を及ぼしたであろう。万が一（何が原因であれ）アクシデントが起きれば、FIAは自らが定めたルールと安全対策に従えなかった、ということを認めねばならなかったはずで、そうなればアメリカの裁判所の反応が目に浮かぶようだ」

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