BMWがF1活動へのコミットメントを強化するためにザウバーチームの買収を検討しているというウワサがあるが、さらに、ウイリアムズが2006年からホンダエンジンに戻るのではないかという憶測が生まれた。また、最近ますます活躍を見せているニック・ハイドフェルドは、現エンジンサプライヤーのBMWで走ることになるのではないかという。
BMWのマリオ・タイセンによれば、ザウバーとの契約が締結されるまでには(それが完全な買収となるにせよ、単なるエンジン供給の契約となるにせよ)少なくとも1カ月かかるとのことだ。また、BMWはウイリアムズとの契約も喜んで継続したい考えだという。しかし、ニュルブルクリンクでの出来事は、新たなウワサを生み出す契機となった。
ウイリアムズは、ホンダだけでなく、コスワースやトヨタとも、予備的な話し合いをしていると見られている。しかしその中で、現在BARに株主として深く関わっているホンダが、2006年のパートナー候補として最も有力視されている。現在のホンダエンジンは、グリッド上で一番パワーがあるというウワサだ。ヨーロッパGPでは、ジェンソン・バトンと佐藤琢磨が、サンマリノGPから手を触れずにブラックレーに置いてあったV10エンジンを使用したにもかかわらず完走したことで、基本的なテストに合格したといえる。しかしホンダは、当面は1チームのみのエンジン供給に集中したい考えで、カスタマー契約は考えていないと見られる。
一方トヨタは、今季ジョーダンとカスタマー契約を実施しているが、ジョーダンチームの先行きはまだ不透明であり、モナコではアレックス・シュナイダーがチーム売却を目指しているとのウワサも生じて、いっそうその将来が分からなくなっている。そのため、トヨタが、ウイリアムズとの関係を開始する可能性はある。最後に、コスワースは、2006年型の2.4リッターV8エンジンをすでに用意して、供給できる状態になっている。レッドブル・レーシングは、来季フェラーリエンジンに変更する決断をしてしまい、ミナルディは制限のあるV10エンジンからスイッチする余裕がないためだ。
来季、BMWとウイリアムズが袂を分かつとすれば、最近2度の2位を獲得しているニック・ハイドフェルドは、ドイツのBMW側に残ることになりそうだ。そして、苦闘するプロストチームで不本意なデビューをした彼を救ってくれたザウバーチームに、再び復帰することになるだろう。そうなると、BARのCEOであるニック・フライの意に反して、ジェンソン・バトンがBARから移籍するためのシートが空くことになる。ウイリアムズに移籍しても、バトンはホンダエンジンで走り続けることになるかもしれない。ホンダエンジンは、フライが、バトンをBARに引き留めるために、あてにしている要素のひとつなのだが。
最後にもうひとつ、今回の週末に囁かれていたウイリアムズをめぐるウワサは、同チームがミシュランとの契約を捨てて、ブリヂストン陣営に加わるのではないか、というものだ。サー・フランク・ウイリアムズが、ブリヂストンの安川ひろし氏と話し込んでいるのが目撃されたらしい。安川氏は、不本意なスタートとなった今季、ブリヂストンを再び軌道に乗せるために、もっと多くのチームを陣営に加えようと試みているようだ。ブリヂストンは、テストでフェラーリのインプットにかなり依存しているが、一方ミシュランは、ウイリアムズのほかに、マクラーレン、ルノー、トヨタ、レッドブルといった上位勢から情報を得られる状況だ。ウイリアムズ−BMW−ザウバーの3者の関係を考えると、興味深いことに、今季の初め、ザウバーは逆に、ブリヂストンからミシュランへスイッチするという動きを見せている。