チャンピオン、ミハエル・シューマッハーが、新車F2005を初走行した。そのポジティブな評価は、フェラーリの上層部に一層のプレッシャーを与えている。
マレーシアGPでは、シーズン初ポイントを挙げたとはいえ、期待はずれの7位で終わったシューマッハー。その3日後、ついに彼はF2005のステアリングを握った。もし、シューマッハーのこれまでのパフォーマンス不足やいらいらした態度により、ロス・ブラウンやジャン・トッドに意志が十分伝わっていなかったとしても、F2005に対する初評価が、新車をすぐにでも実戦投入すべしというシューマッハーの考えをはっきり示す結果になったはずだ。
この日、シューマッハーは、当初は雲のかかっていたムジェロ・サーキットを81周し、ベストタイム1分21秒233を記録した。このタイムは月曜日からスタートした3日間のテストの中で最速であり、ルカ・バドエルの記録した1分21秒3をしのぐものだった。火曜日にはルーベンス・バリチェロがF2005を初ドライブし、1分21秒4を出していることからも、順調な滑り出しと言えよう。
その日の走行を終えたシューマッハーは、初ドライブの感想を述べた。「新しいマシンをドライブするのは、いつでも最高の気分だ。先週のマレーシアGPがああいうレースだったから、余計にね」と、そのコメントは辛らつであった。「テスト初日を終えて、僕が言えるのは、これまでのマシンと比べてF2005はとても進歩しているようだ、ということだね」
今シーズン開幕戦からフェラーリが使用している改良型マシン、F2004Mは、総合的に見ると、ザウバー、ジョーダン、ミナルディの3チームを除く6チームのマシンに比べて性能が劣っているようだ。不振の原因の一端は、タイヤサプライヤーのブリヂストンにもあるだろうが、フェラーリは全てのリソースを集めて、予定していたスペインGPに先駆けてニューマシンF2005をデビューさせなければならない状況にある。シューマッハーの弟ラルフは、今週、昨年型マシンでも闘えると信じていたフェラーリを“おごっている”と批判しているが、兄がトヨタ車を駆る弟に危機感を抱かせるのに十分なプレッシャーを与えられるかどうかは、次回のバーレーンGP後に判明することだろう。