メルボルンでのF1開幕戦で完走したチームは皆そうだが、BMWも最新のエンジンスペックが2戦目のレースディスタンスに耐えてくれることを願っている。
冬の間に導入された新ルールによって、すべてのF1エンジンは、グランプリ2戦分もつことが必要となった。マーク・ウエーバーが母国グランプリで5位を獲得したため、ウイリアムズの搭載するP84/5エンジンは、相当疲労した状態でセパンに臨むことになる。初めてそんなふうに耐久性が試されるのに、さらに悪いことには、マレーシアは全シーズン中でも、特に過酷なコンディションとなる開催地なのだ。高い気温と湿度が相まって、人にもマシンにもかなりの負担がかかる。
BMWのマリオ・タイセンは、次の週末、チームを待ち受けているかもしれない落とし穴について十分承知しているが、ルール変更についての計画では、しっかりシステムが整えられており、成果が得られるだろうと確信している。
「オーストラリアでは、BMW・P84/5エンジンにまったく問題はなかったが、マレーシアでは、エンジンにとって2つの大きなチャレンジが待ち受けている。走行距離が2倍になることと、極度の高温による負荷だ」と、タイセンは語った。
「熱帯の気温に立ち向かうために、全チームが、サイドポッドの前にある冷却用のエア・インテークを追加したり拡大したりしてくるだろう。穴やスリット、通気管やエグゾーストの通気孔などの開口部についても同様だ。冷却は、マシンが止まっている間も続いているし、マシンがピットに入ったとたん、メカニックがサイドポッドの開口部にドライアイスを入れてファンをあてがうことになる」
タイセンが心配する時があるとすれば、それはウエーバーと同僚のニック・ハイドフェルドがグリッドについて、レースが実際にスタートする前のことだ。
「ファンとドライアイスは、スタート直前には使うことができない。特に、フォーメーションラップの後でマシンが停止する時にはそうだ。空気の流れはないし、灼けつくような日射しの中、熱いアスファルトの上なので、この状況は危機的なものになりかねず、水温も急速に上がることが考えられる。非常に高圧のシステムの使用を妨げるために、FIAは水の冷却システムにバルブを設けることを規定しており、それは4.5バール以下の圧力で開くようになっている。しかし、それがグリッド上でレースのスタートを待っているときに起こるならば、水が蒸発してもすぐには補給されない。ここで、ひとつ確かなことがある――BMW・P84/5エンジンは、マレーシアで厳しい耐久テストに直面するだろうということだ」
ウエーバーがメルボルンでのユニットを使い続けなくてはならない一方で(チームが、交換することを選んで、グリッドを10位降格されるペナルティを受け入れないかぎりはだが)、ハイドフェルドは、オーストラリアで完走できなかったために、自分のFW27に新しいエンジンを搭載することを許される。両車とも、第2戦に向けて、内側にちょっとした変更を加えられる。テクニカル・ディレクターのサム・マイケルは、メルボルンよりももっと、単純な週末になるようにと願っている。
「マレーシアに向かうにあたり、私たちは、しっかりした結果を出して、コンストラクターズ選手権のポジションを固めたいと思っている。FW27のパフォーマンスを向上させるために、いくつかの開発パーツを用意している。そしてタイヤパートナーのミシュランは、テスト済みの2つのタイヤチョイスをマレーシアに持ってきてくれる。それがメルボルンと同じように働いてくれれば、何の問題もないだろう。しかし、予選セッションが2回ともドライならば、ピットストップ戦略は興味深いものになるだろうね」と、マイケルは述べた。