F1界の帝王バーニー・エクレストンは、今季限りでのジャガー・レーシングの消滅を嘆き、フォードがF1撤退を決めたのは、参戦費用が高騰しているせいだと述べた。ロイター通信が報じる所によると、エクレストンは驚いてはいなかったようだが、この撤退は参戦コストが無制限に高騰していることを上位チームに警告するはずだ、と述べた。FIAは、来季に向けてコストとスピードの削減案を10チームにまとめさせようとしてきたが、各チームの合意が得られなかったため、FIAが独自案を強行していくことになりそうだ。
エクレストンは次のように述べた。「最近のF1は、非常に金のかかるビジネスだ。コンペティティブであるためにかかる費用を引き下げる必要がある。それでも各チームが金を使うのは自由だが、戦うのに必要となる金額はもっと低くなるだろう」後知恵かもしれないが、エクレストンはさらに、フォードはF1プログラムに投入する資金を減らすのではなく、昨年限りでF1から撤退すべきだったのだ、とも述べた。「これは不可避のことで、私にはそれほどショックではなかった。彼らは、ジョーダンのようなチームと一緒に最後尾のあたりを走っていることはできなかったのだ――フェラーリやBMWと一緒に上位を走っていなければならなかったのだ。彼らは戦闘力を手に入れるために必要な資金を投入していなかったと思うし、私に言わせれば、今年はそもそも走るべきではなかったのだと思う」
F1におけるジャガーの将来が疑問視され始めるやいなや、チームを買収するかもしれない団体がメディアで報じられた。その候補には、飲料ブランドのレッドブルや、F3000チャンピオンチームのアーデン・インターナショナルなどが含まれていた。どちらも、その後、違う方面に興味を転じたとされていたが、ジャガー・レーシングが売りに出されたというニュースによって、その興味が再燃するかもしれない。しかしエクレストンは、現状のままでは、新しい存在がF1に参入してくるのは難しいのではないかと考えている。「興味をもっている人々がいるのは知っているが、彼らがフォード以上に必要な資金を投入できるのかというと疑問だね」と、エクレストン。
もしジャガーチームに買い手がみつからない場合、もしくは、エンジンを製作するコスワース社の売却によって、カスタマーチームであるジョーダンとミナルディの参戦が保証されない場合、コンコルド協定によって、トップチームは3台目のマシンを走らせることを強制されるのではないか、とエクレストンは予想している。それは、まったく悪いことではない、と彼は考えている。「フォード・モーター社を失わなくてもいいことなのだが、いい面もあるかもしれない。いくつかのチームが3台のマシンを走らせることになるかもしれないのだ。そうなれば、来季はおそらく、20台コンペティティブなマシンがグリッドに並ぶことになるだろう」