リカルド・ゾンタは今季、F1でレースをする予定はなかった。しかし、トヨタが彼を、同じブラジル人のクリスチアーノ・ダ・マッタに代わってレギュラーに昇格させる決断をしたことで、レース出場のチャンスをつかむことになった。
かつてBARとジョーダンからF1に参戦していたゾンタは、ハンガリーで今季初のレースを戦ったが、完走することはできなかった。
ゾンタは、テストドライバーからレースドライバーへの移行はそれほど難しくなかった、と語る。
「ハンガリーで、第3ドライバーからレースドライバーへ移行するのは、とてもスムーズだったよ」と、ゾンタ。「もちろん、マシンに乗る時間はずっと長くなったけれど、金曜はそう簡単じゃなかった。新車TF104Bをドライブするのは初めてだったからね。それで、マシンを自分に合わせて微調整するのにかなりの時間を使ったよ。土曜日は、フリー走行ではスピードを出すことができたけれど、一発勝負の予選システムは、僕にとってはまた新しい要素で、すべてをうまくつなぎ合わせるのが難しかった。3年間レースから遠ざかっていたんだから、それは当然のことだし、今週末で修正することができるだろう。何もかも、スパではもっと簡単になるはずだ。僕はもっとずっとリラックスできるだろうし、マシンにはその力があることは分かっている」
次のレースが行われるスパは、ここ数年で特に有名な追い越しシーンの舞台となった場所だ。そしてゾンタは、その追い越しのまさに“中心に”いたことがある。
2000年、レ・コムへ続くロングストレートで、ゾンタは、ミカ・ハッキネンとミハエル・シューマッハーの先陣争いに巻き込まれた。シューマッハーが、BARのゾンタを左から周回遅れにしようとしたとき、ハッキネンは右に進路を取り、ゾンタを追い越しながら一気にトップに立ったのだった。
「誰もがミカ・ハッキネンとミハエル・シューマッハーの駆け引きを覚えているよね。ハッキネンのやり方は、すごく鮮やかだったと思う。ミハエルが左にいて、僕はミカが右側から来るのは見えなかった。ごく控えめに言っても、あれはちょっとした驚きだったよ」と、ゾンタは語った。