ジャガー・チームの首脳陣は、来季のドライバーズ・ラインナップをシーズン終了前に決めると見られており、クリスチャン・クリエンは、来月行われるイタリアGPの直後に、彼のF1キャリアが今年で終わってしまうのかどうかを知らされることになりそうだ。
2000年のデビュー以来、目立った成績が残せずにいるジャガーの周囲では、チームの将来について様々な憶測が飛び交っているが、毎年夏の時期にドライバーラインナップの移動が明らかになってくるとあって、クリエン自身の将来についても多くのうわさがささやかれている。デイビッド・クルサード、アンソニー・デビッドソン、F3000チャンピオンシップリーダーのビタントニオ・リウッツィらが、来季のシートをめぐってストーブリーグを賑わせており、クリエンはレギュラードライバーの座を脅かされている。クリエンまでがチームを去れば、マーク・ウエーバーもウイリアムズBMWチームへ移籍するため、チームは完全に新しいラインナップで来季に臨むことになるのだが。
オーストリアのメディアによれば、飲料水メーカーのレッドブルは今季クリエンを支援してきたものの、レッドブル社長ディートリッヒ・マテシッツが来季はその支援をやめるのではないかという。しかし、マテシッツは来年はどこをスポンサーするのか、まだ決めてはいない。ザウバー・チームとの契約は1年毎であり、アメリカでのブランド戦略を狙ったIRLのレッドブル・チーバー・レーシングとの関係もある。
だがマテシッツは、彼の夢がオール・アメリカのF1チームを作ることであると頻繁に語っており、それがジャガーの未来を左右することになりそうだ。親会社のフォードがF1におけるブランド戦略を考えているだろうことから、フォードはジャガーのブランドを使用するのはやめ、レッドブルの支援の下、フォードを前面に出して参戦するのではと、レース界のメディアにおいては考えられている。そして、アメリカ人ドライバーを最低でもひとりはマシンに乗せ、レッドブルから支援を受けているリウッツィをそのチームメイトにするというのだ。
もしもクリエンがジャガーに見放され、なおかつどこのチームからも声がかからなかった場合、再びオーストリア人ドライバーがF1の表舞台からいなくなることになる。クリエンと同じくオーストリア出身のアレックス・ブルツは、来季もテスト・ドライバーとしてマクラーレン・メルセデス・チームに残ることを決心しそうな気配だ。また、同じくオーストリア出身で、現在F3000のコローニレーシングで活躍中のパトリック・フリーザッハーは同シリーズでの優勝経験もあるが、F1に参戦したければスポンサーを見つけねばならない。フリーザッハーは、今年中にミナルディでテストを行うと見られているが、ミナルディの苦しい台所事情を考えると、来年のシートを得るためには相当額の持参金が必要となるだろう。