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【F1チーム別技術レビュー:マクラーレンMCL60】空力担当プロドロモウの能力を有効活用。新技術体制による開発が成功

2024年1月15日

 2023年F1各マシンのシーズン通しての変化を、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルがまとめた。今回は、マクラーレンMCL60の進化を伝える。


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 開幕直後、マクラーレンは、MCL60のあまりの遅さに苦しんだ。しかし最終的にレッドブルに次ぐF1マシンという高い評価を得たのは、ライバルチームの進化に右往左往することなく、自前の空力技術開発を粛々と進めたおかげだった。


 マクラーレンが2023年に成し遂げた進歩の程度は、驚くべきものだ。序盤4戦でのMCL60は、レッドブルに平均0秒7遅かった。それがシーズン終盤のオースティンとインテルラゴスの間では、両者の差は0秒14秒まで大幅に縮まったのだ。これはアルファタウリAT04を超え、2023年F1マシンの中で最大のパフォーマンス向上だった。

ランド・ノリス(マクラーレン)
2023年F1第23戦アブダビGP ランド・ノリス(マクラーレン)


 空力コンセプトを完全に外していたことを思い知らされた開発チームは、その後アゼルバイジャン、オーストリア、イギリス、シンガポールと、矢継ぎ早に4段階の大幅アップデートを敢行した。


 パーツ製造上の制限から、すべての変更を一度に導入することは不可能だ。第4戦アゼルバイジャンではまず、フロアに改良を施した。そして第10戦オーストリアでは、内部ラジエーターの位置を変更し、左右サイドポッドの空気取り入れ口の下にスペースを設け、車体のアンダーカットを強調した。


 第16戦シンガポールでは、MCL60のアンダーボディを上から下まで徹底的にオーバーホール。ベンチュリトンネルへの入り口とフィンが再設計された。

マクラーレンMCL60 F1シンガポールGPでのアップデート
マクラーレンMCL60 F1シンガポールGPでのアップデート


 開発は主に空力面に集中し、中でもフロア下に重点が置かれた。これらの修正によって、MCL60のアキレス腱であった低速コーナーでの挙動が劇的に改善。ランド・ノリスとオスカー・ピアストリが、揃って好成績を挙げるようになっていった。

マクラーレンMCL60
マクラーレンMCL60


 ただし弱点が全て解消したわけではない。バクー、スパ、モンツァ、ラスベガスで明らかになったように、ストレートでは苦しみ続けた。とはいえ全体的な性能向上を優先した結果、MCL60は王者レッドブルのRB19に次ぐ2番目に速い車となった。

2023年マクラーレンとアストンマーティンのPPとのタイム差(%)
2023年マクラーレンとアストンマーティンのPPとのタイム差(%)


 MCL60の開発時点では、チームはまだ時代遅れの風洞を使わざるを得なかった。それにもかかわらず、なぜこれだけの飛躍的な性能向上に成功したのだろう。


 チーム代表のアンドレア・ステラによれば、「以前の組織における運営では、ジェームス・キー(当時のテクニカルディレクターで、古巣のアルファロメオに2023年復帰)が中心になりすぎており、特に空力専門家のピーター・プロドロモウの貢献が十分に活用されていなかった」ということだ。

ピーター・プロドロモウ(マクラーレンの空力部門テクニカルディレクター)
ピーター・プロドロモウ(マクラーレンの空力部門テクニカルディレクター)


「技術的な再構築が、決定的なカギになった。プロドロモウに指揮を委ね、空力担当ディレクターのジュゼッペ・ペッシェをサポートする。こうして各エンジニアの責任が明確になり、これまで短期的な結果を求めがちだった空力部門で、中長期的な開発が可能になったのだ」


 たとえ時代遅れのツールでも、それを有効活用する。そして各エンジニアの才能を存分に発揮させることで、クルマの変革に成功した。 まるでキーの離脱が、ファクトリーの皆を解放したかのように。


 さらに今月からは、フェラーリで車両コンセプト責任者を務めていたデイビッド・サンチェス、そしてレッドブルでエイドリアン・ニューウェイの側近だったロブ・マーシャルという二人の上級エンジニアが加入。2024年のマクラーレンは、いっそうの戦力強化を成し遂げるものと期待される。

2023年F1第17戦日本GP オスカー・ピアストリ&ランド・ノリス(マクラーレン)
2023年F1第17戦日本GP オスカー・ピアストリ&ランド・ノリス(マクラーレン)

2023年F1第18戦カタールGP 表彰式
2023年F1第18戦カタールGP表彰式 左から2位オスカー・ピアストリ(マクラーレン)、ジャンピエロ・ランビアーゼ、優勝マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3位ランド・ノリス(マクラーレン)



この記事は f1i.com 提供の情報をもとに作成しています



(翻訳・まとめ 柴田久仁夫)




レース

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ドライバーズランキング

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1位マックス・フェルスタッペン219
2位ランド・ノリス150
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6位オスカー・ピアストリ87
7位ジョージ・ラッセル81
8位ルイス・ハミルトン70
9位フェルナンド・アロンソ41
10位角田裕毅19

チームランキング

※スペインGP終了時点
1位オラクル・レッドブル・レーシング330
2位スクーデリア・フェラーリ270
3位マクラーレン・フォーミュラ1チーム237
4位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム151
5位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム58
6位ビザ・キャッシュアップRB F1チーム28
7位BWTアルピーヌF1チーム8
8位マネーグラム・ハースF1チーム7
9位ウイリアムズ・レーシング2
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