ホンダF1田辺TD予選後会見:スパウェザーのなか「雨の状況を見ながら、周回ごとにPUの設定を変更」してポール獲得
2021年8月29日
初日を上回る不安定な天候で行われた2021年F1第12戦ベルギーGPの予選。角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)はタイムをまとめられずQ1で姿を消したものの、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)、ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)は順当にQ3に進出した。
開始前から大雨の降り出したQ3では、ランド・ノリス(マクラーレン)がラディオンコーナーで大クラッシュを喫し、セッションは赤旗中断。9分間の最後のアタックで、フェルスタッペンがベルギーGPでの自身初となるポールポジションを獲得した。
1周7kmという全グランプリ中最長のコースだけに、回生エネルギーの適切な使用が一発タイムに大きく影響する。目まぐるしく変わる路面コンディションに合わせ、「どのコンディションでどのくらいのラップタイム、どのくらいの全開率になったら、どういったセッティングがベストかを頭に叩き込み、切り替えをやってきた」と言うホンダF1田辺豊治テクニカルディレクターは、その努力が成果となって現れたことに素直に満足していた。
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──まさにスパウェザーのなかでの予選でした。
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):雨が降ったり止んだり、薄日がさしたり、外気温も14度ほどとかなり低かったです。予選前には一時雨が止んでいたのが直前にまた降り出し、セッション中も降ったり止んだりでした。そんななかランド・ノリス選手が大クラッシュを喫し、クルマが大破していたため心配しましたが、幸いなことに自力で降りて歩いて行きました。そこは本当に安心しました。
──非常に難しいコンディションのなか、マックス・フェルスタッペンがベルギー初ポールポジションを獲得しました。
田辺TD:本人(フェルスタッペン)のドライビング、タイヤマネジメントの巧さ、そしてチームが他車の状況を見ながらコースに送り出すタイミングを計ったり、そんな成果の賜物だと思います。
──セルジオ・ペレスは7番手タイムでした。
田辺TD:Q3最後のアタックラップでうまく攻められなかったですね。一方でアルファタウリの(ピエール)ガスリーは、前半戦の好調を持続して6番手。初日からいいパフォーマンスを見せていました。角田(裕毅)もFP1から徐々にペースを上げてきましたが、予選ではタイムをまとめられず17番手でした。レッドブル・ホンダにとっては今季6回目のポールポジション。そしてレッドブルと組んで50戦目という節目のグランプリでポールポジションを獲ることができました。
──決勝日も不順な天候が予想されます。
田辺TD:スパウェザーが続くでしょうね。スカッと晴れることはなさそうです。初日はドライ路面で走っていますから、今日のデータと合わせて、どんな形の天候になっても適応できるように準備していくつもりです。
■連続アタックの可否は「全開率に大きく左右される」
──今週末のような、目まぐるしく天候が変わるなかでのパワーユニット側のセッティングは、どのような難しさがあるのでしょうか?
田辺TD:路面コンディションが変わるとエンジン全開率が変わります。そのため、エネルギーマネジメントのセッティング、合わせ込みが忙しくなります。今年は(ステアリング上の)スイッチにいろいろな設定を持っていますので、状況を見ながら変化させ、最適なパワーユニットの使い方を逐次、ほとんどラップごとと言っていいかもしれませんがやっていました。その部分は、ホンダの仕事としては今回大きかった部分ですね。
ダンプ(ちょい濡れ)から完全ドライ、あるいは再びウエットへと変化するなかで、それぞれ違うタイヤを履けばセッティングも変わります。どういったコンディションでどのくらいのラップタイム、どのくらいの全開率になったら、どういったセッティングがベストかを頭に叩き込んでおき、このあたりに行きそうだなと思ったら、事前に切り替えをやってきた感じです。
──ドライ路面の場合、回生エネルギーのチャージが必要なことから2周連続アタックはできないはずです。それがウエット路面では連続アタックができると理解しています。今回の予選はまさにそんな状況で、連続アタックは回生エネルギー的に問題なくできたということでしょうか。
田辺TD:そうですね。雨の降り方といいますか、全開率に大きく左右されるので、それによります。今日の状況でも、全開率が大きく下がった際には連続アタックができています。過去のウエットでもそういった状況はありました。
──それを踏まえての質問ですが、Q3での赤旗中断後の最終アタックで、フェルスタッペンとルイス・ハミルトン(メルセデス)は1度アタックした後にクールダウンなのかチャージラップなのか、とにかく1周を空けて再度アタックをしていました。フェルスタッペンのコメントでは、タイヤのコンディションを合わせ込むのが難しかったとのことでした。だとするとデプロイメントの必要性というよりもタイヤだったのか。あるいは2分を切るタイムを出そうとすると、チャージラップが必要になってくるのか。どちらだったのでしょうか?
田辺TD:フェルスタッペンの言ったとおりの目的です。
──そうですか。一方でペレスが3周連続アタックをしたこともデプロイメントとは関係なかったのですか?
田辺TD:そうです。
(取材・まとめ 柴田久仁夫)
関連ニュース
1位 | マックス・フェルスタッペン | 362 |
2位 | ランド・ノリス | 315 |
3位 | シャルル・ルクレール | 291 |
4位 | オスカー・ピアストリ | 251 |
5位 | カルロス・サインツ | 240 |
6位 | ルイス・ハミルトン | 189 |
7位 | ジョージ・ラッセル | 177 |
8位 | セルジオ・ペレス | 150 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 62 |
10位 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 31 |
1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 566 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 537 |
3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 512 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 366 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 86 |
6位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 46 |
7位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 36 |
8位 | ウイリアムズ・レーシング | 17 |
9位 | BWTアルピーヌF1チーム | 14 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |
第19戦 | アメリカGP | 10/20 |
第20戦 | メキシコシティGP | 10/27 |
第21戦 | サンパウロGP | 11/3 |
第22戦 | ラスベガスGP | 11/23 |
第23戦 | カタールGP | 12/1 |