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特集:ホンダF1長谷川氏インタビュー後編「コンパクト、軽量化は17年も継続していく」

2017年1月16日

ホンダF1復帰2年目から総責任者の役割を担っている長谷川祐介氏が2016年シーズン振り返り、そして17年の展望を一問一答していく後編。トークン制度が廃止される2017年はどのようにパワーユニットの開発を加速させていくのだろうか。 


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――16年のホンダは信頼性が向上しただけでなく、デプロイや馬力も改善されました。15年のパワーユニットと何が変わったのでしょうか。


長谷川祐介(以下長谷川):信頼性とERSシステムの向上に関しては、かなり高いレベルで実現できたと思っています。その結果として、15年に実現できなかった予選でのQ3進出を達成し、レースでもより多くのポイント獲得につなげることができたと思っています。デプロイの改善にあたっては、まずターボを変えました。さらにベルギーGPではコンプレッサーもアップデートしています。ターボに関しては、具体的に羽のデザインを変更しました。15年はVバンク角の中に収めるために、小さくせざるをえなかったのですが、16年は(それをVバンク角の外に出して)スクロールを大きくしました。ただし、これはマクラーレンに言われて小さくなったというわけではありません。我々の中で、できるだけコンパクトにしたほうがいいと考えてやっただけです。ですから、サイズ・ゼロというコンセプトは16年も捨ててはいなかったし、実際、全体のパッケージとしては、15年よりも16年のほうがコンパクトになり、かつ軽量化されていました。それは17年も継続していくつもりです。


――ICE(エンジン本体)はどうだったのですか。


長谷川:エンジンも15年から16年にかけて大きく変え、ステップアップさせました。ただ、デプロイの改善に比べると、こちらの方は、満足のいく結果は得られなかったというのが正直な感想です。


――何が問題だったのでしょうか。


長谷川:馬力を向上させるという技術的な部分に関しては、予想していた通りの改善はできたんです。たとえば、ラップタイムでいえば、だいたいコンマ5秒ぐらい向上しました。15年から16年にかけてパワーアップし、16年シーズンを通してもだいたい同じくらいパワーアップさせることができました。これはNAの時代には考えられないほどの向上です。NA時代は年間の向上率はだいたいコンマ1秒ぐらいでしたから。


――では、どこが満足できなかったのでしょうか。


長谷川:ライバルがホンダ以上に馬力を向上させてきたからです。たとえば、ホンダの16年の開幕戦メルボルンでの予選タイムはフェルナンド(アロンソ)が1分26秒125で、ジェンソン(バトン)も1分26秒304と2台とも15年にルイス・ハミルトンが記録したポールポジションタイムである1分26秒327を上回りました。でも、2台ともQ3に進出できませんでした……(16年のPPタイムは1分23秒837と2.5秒速くなった)。それが満足のいく結果は得られなかった理由です。


――見通しが甘かった?


長谷川:ウインターテストが始まった段階では、チャンピオンを取れるとは思っていませんでしたが、もう少しいい戦いができると思っていました。信頼性でリタイアしなければ、それなりの結果は出ると考えていました。もしかしたら、表彰台も取れるだろうと。Q3進出も、もう少し早く実現できると予想していたのですが、スペインGPまでかかってしまった。でも残念ながら、それがわれわれの実力だったわけです。


――17年に向けてはどうでしょう。


長谷川:17年へ向けては、16年から何かを変えるというよりも、16年にやってきたことをさらに加速させるという方向です。参戦したばかりの15年はあらゆることが初めてで、まずは落ち着いて自分たちの仕事に集中した方がいい状況だったと思いますが、16年になってみんなのレベルが上がってきているので、そういうところを強化したい。


――17年はトークン制度が廃止されます。


長谷川:17年はトークンシステムが廃止されて、開発はトークンによる制約は受けませんが、ホンダがライバルに後れをとっているのはトークンシステムがあったことだけが理由ではありません。リソースだったり、時間の制約も受けていた。また、17年は年間に使用できるパワーユニットの台数が4基に制限されるので、いくら開発が自由になるといっても、アップデートを入れるタイミングは3回に限られる。つまり、トークンフリーになったからといって、単純に16年以上に開発ができるとは思っていない。実際、16年もトークンはすべて使うことができず、余らせたわけですから(ホンダは32トークン中31トークンを使用)。


――2017年のホンダの活躍に期待しています。


長谷川:ありがとうございます。



(Masahiro Owari)


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