イギリス、カナダ、アメリカの3戦でサードカーのテストドライバーを任されたスーパーアグリの山本左近。その締めくくりとなるインディアナポリスの金曜日フリー走行では午前中31周、午後は33周をほぼノートラブルで消化し、タイヤのデータ収集などでキッチリと貢献、チームスタッフとのコミュニケーションも1戦ごとに向上し、本人もその内容にかなりの手ごたえを感じたようだ。
「オーバルのバンクを走るのはこれがはじめてだったので、最初は広いコースのどこを走ったらいいのかちょっと戸惑いましたけど、すぐに慣れました。ゲームとのギャップは余り無かったかな?」と左近。
「もちろんこれまで僕が経験した中で一番速いコーナーだったし、インディアナポリスのバンクを走っているということで、それなりに感激もありましたが、とりあえず最初から全開で行きました。スピードを殺さず、できるだけステアリングを切らずに走ることを意識しましたね……」と初インディ、初オーバルの印象を語る。
「最初、アウトラップの時に他のクルマに引っかかったせいで、フロントタイヤの温まりが悪くて、それを補うためにフロントウイングのダウンフォースを増やす形でセッティングを変えたんですが、その後走り出したらクリアラップが取れて逆にフロントのグリップが強くなりすぎ、ちょっとオーバー気味になってタイムが伸びなかったのが悔しい。でも、ロングランではタイヤの性能を100%使い切って走ることができ、チームにデータを残すことができましたし、これでまたひとつ経験を重ね、新たなことを学べたという意味でポジティブに考えています。これでとりあえず3戦と一区切りついたわけですが、自分としては多くのことを学べたし、この後、チャンスがあれば、いつでもF1をドライブできるという自信にもなった。機会があればぜひまた挑戦したいですね」と左近。
ちなみに気になるスーパーアグリのフランスGP以降のドライバーに関して、スーパーアグリはまだ方針を明らかにしておらず、フランク・モンタニーに今後も含めて注目が集まるところ。とりあえず3戦の契約を終えた左近だが、そこできっちりと「仕事」をこなしたことが左近の将来に大きなプラスとなったことは間違いない。
(Ken Kawakita)