2015年はARTからGP2シリーズに初挑戦した松下信治。1年目は初勝利を挙げて、ランキング9位で終えた。シーズン終了直後の合同テストでは参加2日間ともにトップタイムを記録。今季は圧倒的な強さでチャンピオンに輝いたチームメイトのストフェル・バンドーンに続き、2016年はタイトル争いができるのか。アブダビで、2015年シーズンを総括するインタビューを行った。
──GP2初シーズンを終えて、いまの気持ちは?
もちろん結果に満足はしていませんけど、GP2というカテゴリーで戦っていくということに手ごたえは感じています。楽しかったし、あっという間でしたね。1年目は苦労するだろうなとは思っていましたけど、良いとき悪いときのアップダウンが大きかったな、というのが自分の印象です。チャンピオンを目指すためには、それでは全然足りないし、チームメイトとしてストフェル(バンドーン)を隣で見てきて何が違うのかも良くわかった。「まだまだ足りないな」と思い知らされた1年でしたね。
──バンドーンと比べて、最大の違いというのは?
予選で言えば、タイヤの温めかたであったりトラフィックのコントロールであったり、全部をまとめあげる力ですね。予選で1回もストフェルに勝てなかったんで、それはすごく、くやしいです。決勝ではタイヤのマネージメントも、もちろんですけど、激しいバトルの中でジェントルすぎれば抜かれてしまうし、アグレッシブすぎればぶつかってしまう。彼は、それをいつも完璧にこなして上位でフィニッシュしている。GP2って、ものすごくたくさんの要素が絡みあったレースで、とてもタフである上に、ひとつでもミスをしたら終わりで、運も必要。すべての要素をうまくまとめることができるドライバーだけが上位で戦え、勝てるんです。これだけ大勢のドライバーがいても、常にトップ8にいる顔ぶれは同じ。そういうことなんです。そこに1年目で入っているドライバーは少ないし、GP2の難しさの証でもある。いまの自分が彼らに較べて劣っていることは明らかですけど、来年このままでいくつもりはありません。