アメリカGP初日は雷鳴が轟き、アスファルトを叩きつけるような激しい雨に見舞われた。フリー走行2回目は医療用ヘリコプターが離発着できないとの理由から中止。太平洋沿岸から北米大陸に接近しているハリケーン、史上最強とも言われている「パトリシア」の影響だ。
上陸前の中心気圧は880ヘクトパスカル、進路はメキシコを南西から北東へ横断したあと、テキサス州へ抜けると見られている。そのため金曜のセッション後、通常のドライバーズミーティングが終わってから、FIAは各チームのチームマネージャーを招集した。
チーム関係者によると、2日目以降のスケジュールに関しては、カーフュー(夜間作業禁止時間)が明ける土曜の朝7時(日本時間21時)に再びチームマネージャーとFIAがミーティングを開いて決定するという。すでにFIAは、あらゆる状況に対応できるよう、いくつかの選択肢を用意している。ハリケーンは土曜の夜にテキサス州を通過すると予想されており、土曜は時間が遅くなるほど風雨が激しくなる可能性がある。状況によってはフリー走行3回目を中止して、土曜の午前中に予選を行うことも検討されているようだ。
ハリケーンの影響が日曜まで残り、日曜の午後に天候が回復という場合は、予選も中止して、いきなりレースを行う可能性もある。その場合のスターティンググリッドはレース審議委員会が決定することになるが、ある関係者は「もし土曜にフリー走行3回目がなければ、おそらくフリー走行1回目の成績が基準となるだろう」と言う。
FIAのチャーリー・ホワイティングは「セッションを行うかどうか、直接の判断は金曜と同様マーシャリングシステムの視認性と医療用ヘリコプターが離発着可能かどうかによる」と、判断基準について説明。商業面を取り仕切るFOMのバーニー・エクレストンは「観客の安全が何よりも優先されなくてはならない」と話している。
史上最大のハリケーンが接近している状況となったアメリカGPは、これまで経験したことがない緊張感に包まれながら、2日目を迎えようとしている。
(尾張正博)