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【レースの焦点】欠けた攻撃性、取り戻した野生

2014年5月13日

Redbull

 イギリス国歌に続いて、ドイツ国歌が流れる間――表彰台のルイス・ハミルトンの、落ち着かない様子が、厳しかったレースを物語っていた。
「今日はニコ(ロズベルグ)の方が速かった。僕はものすごくバランスに苦労していた」

 外から見ればメルセデスが圧倒的なレースでも、ハミルトンにとっては今シーズンもっともタフな、精神をすり減らす戦いだった。金曜日に完璧すぎたマシンは土曜の朝からバランスを崩し、FP3、予選Q1〜Q2はロズベルグが主導権を握った。ポールポジションは、最後のアタックの前にディファレンシャルを調整し、全力を振り絞った成果だ――レースでは同じ問題が懸念された。コーナー入り口でオーバーステアが発生するため、思い切って攻めることができないのだ。

 スタートでは首位を守り、すぐに2秒のリードを築いたものの、レースの主導権を握れていたわけではなかった。2秒は、乱気流を避けてタイヤを守るためにロズベルグが選んだ間隔。予選とスタートでトップに立つチャンスを逃したチームメイトは、作戦に賭けて第2スティントでハードタイヤを履いた。新品のミディアムを最後のスティントに残して、ハミルトン攻撃のチャンスを作るためだ。

計算上は――計算だけなら――ロズベルグが優勝するチャンスは大きかった。最後のスティントでハミルトンがハード、ロズベルグがミディアムを履いた時点で、2種類のコンパウンドの差をカバーするだけのリードを、前を行くハミルトンは築けていなかったのだから。ゴールまで7周を残したところで、カーナンバー6のメルセデスは1秒後方に迫って来た。そして最後の4周、2台の間隔は1秒以内。ニコはDRSを作動させてオーバーテイクのタイミングを計る……


 それでも、数km/hのスピード差で同じマシンを抜くのは難しい。もともとオーバーテイクの難しいバルセロナ、硬すぎるコンパウンドは路面にラバーインしてグリップを向上するよりも、ライン外をマーブルで埋めていた――走行が進めば進むほど、使える走行ラインの幅は狭くなり、有利なミディアムを履いてもロズベルグが選べるラインは限られていた。そしてもちろん、相手はハミルトン。普通の攻め方で抜ける相手ではないのだから、フェアとアンフェアの境界線で意表を突く“戦略的な”ドライビングが必要だった。「あと1周足りなかった」とニコは言ったが……最終ラップより前にすでに、彼は0.6秒差まで迫っていた。足りなかったのは、残り4周のどこか一ヵ所で、たった一度の、決定的なチャンスを作ることだった。トライして、たとえオーバーランをしても、3位のダニエル・リカルドは50秒近く後方――ロズベルグが失うものはなかったのだから。

 セバスチャン・ベッテルのファンにはとりわけ、そんなニコが恵まれて見えたに違いない。トラブル続きの週末は、電気系の問題でまったく走れなかった金曜日から始まって、土曜のQ3にはギヤボックスが壊れた。予選10位。プラス、ギヤボックス交換によるペナルティで5グリッド降格。

 スタートでも大きなポジションアップが叶わなかったベッテルは、集団のなかで第1スティントを走行した。

「乱気流のなかで、まえのマシンがスライドすると後ろはもっと滑る。どのくらいのペースで走れるのかも、タイヤが何周もつのかも、分からなかった」

 しかし逆境のなかで、レッドブルはチャンピオンチームの力を見せた。アグレッシブに攻める作戦はミディアム‐ハード‐ミディアム‐ミディアムの3ストップ。人とは違う作戦を採用し、前が開けた状態で走行できるようになると、RB10は期待以上のバランスを発揮した――ここはダウンフォースが要のコース。レッドブルの長所が活きるレイアウトなのだ。レース前半に抜くのは性能差が大きなマシンで、ハードタイヤを履いて慎重に攻めてもオーバーテイクは可能だった。そして予選を満足に走れなかった分、後半2スティントのためには新品のミディアムタイヤが2セット手元に残っていた。




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