スーパー・アグリF1チームは、何とかギリギリのところでオーストラリアGPに間に合った。だが彼らはこれからもさらなる戦いに直面することだろう。ホンダF1のCEOであるニック・フライは、スーパーアグリのサポートは今後、減っていくだろうとの見通しを持っている。
“カスタマーカー”の使用に関しては、最終的にスーパーアグリもトロロッソも、将来は自分たち自身の車両を製作しなければならないという結果になり、彼らを落胆させているが、ホンダF1のチーフ・エグゼクティブであるフライは、スーパーアグリは規模を縮小せざるを得ないだろうと語っている。
スーパーアグリは、日本人ファンのお気に入りである佐藤琢磨をフォーミュラ・ワンに留めておくため、ホンダのセカンドチームとして誕生した経緯がある。そして最初のグランプリでは、改良版のアロウズのシャシーを走らせた。
昨シーズンはホンダの1年落ちのシャシーを使用したため、ワークスチームであるホンダの手を煩わせ、結果、本家ホンダに影響を及ぼし、ジェンソン・バトンやルーベンス・バリチェロが常にポイント圏外でフィニッシュするという結果をもたらしたのではないかと囁かれている。しかしフライは、今週の決定に関し、そのことはまるで関係ないと主張する。
「スーパーアグリは、他の独立チーム同様に、自分たちのクルマを持たねばならないだろう」彼はメルボルンでロイターに対してそう語っている。
「彼らは自分たちのクルマを作らねばならないし、もっと多くの技術的なリソースを投入しなければならない。(新オーナーとなる)マグマはそのことに気づいているだろう。それは2010年から要求されるが、実際には我々の場合を考えてみれば、それよりもずっと早く取り組まねばならない。我々は、エンジンサプライヤーとして彼らをサポートするつもりであるし、その他の面に関しても技術援助を若干は行っていく。だが、基本的には現在よりも減っていく方向にあるだろう」
「我々が昨年の不調の原因を、スーパーアグリに手を貸したためだという意見があるが、それはまったく違う。だが困難な状況にいる際に、規定の適用内ではあるものの、他のチームを手助けすることは、確かに考慮しなければならないことではある。誰しもフォーミュラ・ワンにおいては並外れて非凡な存在でなければならない。我々のチームもそうでなければならないと思っているし、(新チーム代表の)ロス・ブラウンと私も実際推し進めているところだ」
鈴木亜久里のチームは、期待していたスポンサーとの交渉が成立しなかったため、資金不足に陥り、2008年シーズンのスタートが切れないのではと考えられていた。だが、元フォード・ヨーロッパの代表、マーティン・リーチが率いるマグマ・グループが手を差し伸べ、彼らは今週、レースをスタートできることとなった。フライはこの交渉に関わり、またスーパーアグリがF1で生き残るために手を貸したことを認めている。
「その最後のプライベーターチームは、確実な人の手元に送ることが重要であった。マーティン・リーチ、そしてマグマ・グループ、さらに数カ月後には明らかになるだろう支援者たちの存在が、この問題を解決したと言えるだろう」とフライ。
「我々は(先週)月曜の夜に法的な契約を結んだ。午前3時頃だったね。さらに彼らがF1に残るためには、木曜日の正午までに支払いいがなされなければならなかったが、支払われたのは正午2分前だった。それほどギリギリでの決着だったんだ」
「我々はこの結論を導くために尽力した。グリッドから1チームがいなくなることは誰にとっても非常に寂しいことだろうと私は思っているよ」