最終戦ブラジルGPを終えた直後、ウイリアムズのテクニカルディレクター、サム・マイケルが、今シーズンについて、また、F1デビューを果たした中嶋一貴について語った。
――(ブラジルGPでの)燃料違反問題についてどうお考えですか?
サム・マイケル(以下SM):マシンの燃料温度の調査については、文書に詳細に書かれている。ペナルティはなしだ。スチュワードが詳しく検査した結果、マシン内の燃料が外気温より10度以上低い状態にはなかったことがはっきりした。彼らは給油リグ内の温度とマシン内の燃料の温度をすべてチェックし、問題なしとして納得した。
――ニコ(・ロズベルグ)がこれほどいい結果を出してシーズンを締めくくることができたのは、喜ばしいですね?
SM:本当にそうだ。この2戦は全くついていなかったので、他のチームからは、私たちは競争力がないという誤った認識を持たれてしまった。上海でもここ(ブラジル)でも、予選は苦戦したが、レースペースは終始好調だった。今日はまたすべての要素がうまくまとまったのだ。ニコは完璧なレースをし、すべてをうまくやった。最後のオプションでのスティントをできるだけ短くするという戦略をとったが、それがうまくいった。彼は全力でプッシュしたし、マシンもとてもよかった。
――BMWは今年、トップ3のポジションを確立していましたが、そのBMWを相手にレースができるなどと予想していましたか?
SM:私たちはマシンを大きく進歩させてきた。その成果が富士で表れたが、アレックス(・ブルツ)はコースから押し出され、ニコのマシンは壊れた。次の上海では、ニコはパンクに見舞われ、レースはウエットだった。そういうわけで、これまで実力を発揮できずにいたんだ。
――ニコはシーズン通して予選で好成績を挙げてきました。一方で、決勝ではいい結果を逃してきましたね?
SM:そのとおりだ。彼は今年素晴らしい仕事をしてきただけに、とても嬉しく思っている。
――この2年で彼はどのぐらい進歩しましたか?
SM:昨年の冬に大きく前進したし、今年も1年を通して素晴らしいドライビングを見せた。
――(中嶋)一貴の初レースを見て好印象を持ちましたか?
SM:19番グリッドから10位でフィニッシュし、レース中のベストタイムは5番手だった。つまり彼はとても速かった。最後のスティントはずっと1分13秒台で走っていた。それに、オーバーテイクも何度かしたね。佐藤とクルサードが相手だった。彼は躊躇なく行動していた。昨日の予選での不振を見事に挽回したし、初めてのグランプリ・ウイークエンドとしてはかなりうまくやっていたと思う。
――最初のピットストップでは何が起こったのですか?
SM:ピットに入ってきて、メカニックたちを引っ掛けたのだ。単にブレーキングが遅すぎてラインを越えてしまった。あのことについては彼は本当に落ち込んでいた。何人かが打撲を負ったり、ねんざをした。5人がケガをした。ふたりはちょっと当たっただけで、問題なかったので、病院に行く必要もなかった。ひとりは足を引きずっていたが、ホテルに戻った。あとのふたりは病院に行った。大丈夫だとは思うが、MRIとX線の検査を受け、一晩入院した。