アレックス・ブルツは、ウイリアムズがレースの舞台で中嶋一貴を評価できるように、考えていたよりも1ラウンド早く、フォーミュラ・ワンでのキャリアに終止符を打つことに同意したと語っている。
チームは一年を通じて、GP2での中嶋の活動を注視し続け、またチーム代表のフランク・ウイリアムズは、1レースだけではその才能を評価するベースにはならない、と主張していたにもかかわらず、中嶋が先週末のブラジルで走れるよう、中国GP後に引退することでチームと合意に至ったとブルツは説明している。
ブルツはウェブサイト、sportnet.atにおいて、シーズン最終戦を前に引退を求められたものの、あくまでも友好的な状況のもとで合意に達したものであったと語り、真実とは逆のさまざまなウワサを否定している。実際にブルツは、中嶋とチームメイトのニコ・ロズベルグの2人が、インテルラゴス・サーキットでうまく走れるよう、彼の豊富なテスト経験を用いて、サスペンションやセッティングの面でサポートすることをチームに申し入れている。
「ウイリアムズと僕は、僕の最後のレースのときに話し合い、2008年のテストとして一貴がブラジルで走れるようにシートを譲ることで合意に達したんだ」とブルツ。「僕がトヨタから大金をもらって身を引いたなんて記事もあったけど、今回は本当に無償で決めたことなんだ。お金の話はまったくせずに、僕らは友好的に同意したんだ。ウイリアムズと僕は、僕がこのチームに来た最初の瞬間からいい関係を築いてきた。それは今も変わらないよ」
「僕はブラジルでのレースの土曜日に、チームに提案したんだ。僕のエンジニアにはもう言ってあったんだけど、セッティングはこうしたらいいんじゃないか、って。特にサスペンションに関してね。チームが実際に僕の情報を使ったのかどうかはわからないけど、それは大した事じゃないんだ。大事なのは、チームが一丸となって取り組む姿勢を再び見せたこと、そして最終的にコンストラクターズ選手権の4位を獲得したことだ」
2007年の最終レースでキャリアを終わらせることができなかったのはさぞや無念だったろうが、ブルツは寛大な心で中嶋をサポートした。おかげで中嶋はF1のデビュー戦で上々のパフォーマンスを示すことができた、もっとも彼がピットレーンで2人のクルーを怪我させてしまったのは不幸な出来事ではあったが。
「彼は良いドライバーだよ」とブルツ。「良いんだが、まだまだ時間が必要だね。チームは彼にその時間を与えてあげなければいけないね」