BARホンダ・チームは、今年10月4〜11日に、かのボンネビル塩原にて、F1マシンで初めて最高速記録に挑戦することを発表した。目標は時速400km到達だという。
当初の噂では、ドライバーとしてイギリス人のジェームス・ロシターの名が挙がっていたのだが、チームはイタリアGPの週末にプロジェクトについて発表し、南アフリカ人のアラン・バン・デル・メルベがステアリングを握ることを明らかにした。
レースサーキット以外の場所でF1カーがどれだけの速さを出せるのかが注目されるところだが、チームは、ユタ州のボンネビル塩原で達成できると考えられるスピードに合わせてマシンを開発したという。しかし、このイベント向けに多少の変更を加えたとはいえ、マシンは現行ホンダエンジン搭載007のあくまで‘トラック仕様’だ。同車は‘特別構成のオープンホイールカー’とみなされ、このスピード記録競技では‘レイクスター’のカテゴリーに分類される。また、その3リッター・ホンダエンジンは、‘無過給ガソリンエンジン・レイクスター’のカテゴリーとなる。
「ある意味、正気じゃない部分がないとできないね」と認めるBARスポーティングディレクターのジル・ド・フェラン。「ボンネビルのようなところに行けば、なぜ昔の人たちが地球は平面だと考えていたのかよく分かる。この世の端から落ちてしまいそうに見えるんだ」
F1カーの現在のスピード‘記録’は時速約372kmで、マクラーレンのファン−パブロ・モントーヤが先週のモンツァでのテストでマークしたのだが、BARで折にふれテストしているバン・デル・メルベは時速400kmにできる限り近づくべく準備してきた。さらに彼は、元ランドスピード記録保持者のリチャード・ノーブルに助言を求めることになっている。ノーブル氏の超音速カー、“スラスト”は、アンディ・グリーンのドライブにより時速1220kmを達成している。
「(ボンネビルで)F1カーが走るなんて想像すること自体が奇想天外でまったく型破りだ」とロイター通信の取材に答えるド・フェラン。「だがこれこそがチャレンジというものだろう」