マクラーレンのテストドライバー、ペドロ・デ・ラ・ロサは、トルコGP決勝の序盤、ルノーのフェルナンド・アロンソはチームオーダーを受けて順位を上げており、これはルール違反だとして非難している。
アロンソと僚友のジャンカルロ・フィジケラは、2周目の時点で、タイトル争いをしているキミ・ライコネンの後塵を拝していた。その時、テレビ放送がルノー・チームの無線に切り替わり、チームがアロンソに対し、“君はチームメイトよりも速い、パスせよ”と指示するメッセージが流れた。アロンソは次のストレートでチャンスを伺い、フィジケラを正攻法でパスした。結果、アロンソは、表彰台フィニッシュを狙えるポジションに浮上、選手権争いにおけるダメージを最小限に抑えることに成功したのだ。
「ルノーがやっていたことはルール違反だ」。デ・ラ・ロサはスペインのマルカ紙に対し、そう述べている。「チームが無線でアロンソに言ったことは、100パーセント、チームオーダーだ。追い抜きの指示だったのは明らかだよ。僕らが唯一分からないのは、フィジケラが何と言われたかだ」
2002年のA1リンク・サーキットにおいてフェラーリがチームオーダーを発動し、世間の議論を引き起こしたのがきっかけで、それ以降、F1において“チームオーダー”というものは、タブーとされてきた。そのオーストリアGPでは、予選でポールポジションを獲得したルーベンス・バリチェロが、スタート直後から僚友のミハエル・シューマッハーや、その他のドライバーを大きく引き離していたが、チームオーダーにより、最終ラップでスピードを落としてシューマッハーを前に出すように指示され、優勝を譲った。タイトル獲得に向けて、シューマッハーがどうしてもこの1勝を必要としていたわけではなかったというのにだ。
ライコネンが予選でポールポジションを決めた土曜日、アロンソは、トルコGPではどんなチーム戦略になりそうかと問われても、その詳細を話そうとはしなかった。だが、チームオーダーが禁止されていることは、はっきりと指摘した。一方、フィジケラは、今や自分に課された作戦は、僚友を手助けすることもあり得る局面にあることを認めた。
フィジケラは次のように述べている。
「僕は自分のレースをするけど、その時の展開によっては、フェルナンドを助けようとするだろうね」
「ライコネンが僕らの後方にいる時やリタイアした時は、優勝を目指して闘うけど、キミが僕らの前を走っていたら、僕はフェルナンドを手助けするだろう。でも、レース結果を左右するようなチームオーダーは、禁止されている」
この件に関し、マクラーレンから正式な苦情は出されてはおらず、FIAもこの問題を調査する旨の発言はしていない。現在、アロンソはライコネンに24ポイント差を、ルノーはマクラーレンに9ポイント差を保っている。