フェラーリのテクニカルディレクターであるロス・ブラウンによれば、新しいV8エンジンの初期テストはマルク・ジェネのドライブにより、うまくいったという。今後は、新エンジンのトルクカーブのマネージメントが主な課題となるだろうとのことだ。
マルク・ジェネが、開発用マシンの初期テストを担当した。
ロス・ブラウンは次のように語った。「マルクは、これまでにこのマシンをドライブした唯一の人間だ。そして彼のコメントによると、このエンジンはトップエンドでの感触はさほど悪くないという。パワーの減少はそれほど大きくないようだ。むしろ下端と中間のレンジで、減少が気になる。予想された通り、かなりトルクが減っているのだ」。
「難しいトルクの出し方だが、さらに難しさせるのが、レギュレーション変更によって、可変トランペットが禁止されることだ。そのせいもあって、トルク特性に不満。トルクカーブをなめらかにするためにエンジンを調整しようとしているところだ」
伝統的には、V8エンジンはバイブレーションの問題を起こすというが、ブラウンによれば、これまでのところ深刻な問題は生じていないという。
「低い回転域で少しだけバイブレーションが増加するが、高回転域ではさほど変わらない。トラクションコントロールなどのシステムの何かが、V8のトルクカーブとV8のパワー出力にあまりよく合致していないようなので、そういうものを調べている。しかしマルクによれば、さほど悪くないということだ」
マニュファクチャラーたちは、新エンジンの開発はかなりのコスト増加になると不満を述べているが、ブラウンは最初の変更がすめば予算は安定するだろうと語る。
「私たちはみな、それでコストが変わることを承知していると思う。F1で可能な変更のうちで、初期にコストがよけいにかからないものはほとんどない。エンジンを根本的に新しいタイプに変更するには、必ず初期コストがかかるものだ。しかし将来は、現在支出しているよりも低いレベルで安定すると思う。V8とV10の開発に、根本的な違いがあるのかどうか、私にはわからない。よけいに金がかかるという理由はみあたらないよ」