フェラーリのミハエル・シューマッハーは、ハンガリーGPのレース中盤にマクラーレンのキミ・ライコネンが彼よりもピットインを1周遅らせたことについて、その1周が1位と2位の分かれ目となったのだろうと述べた。
　ハンガロリンクでポールポジションを獲得したシューマッハーは、2回目のピットストップまではトップを走っていた。しかし、マクラーレンがレース戦略を変更したことで窮地に陥った。より速いマシン/エンジン/タイヤのパッケージを持つライコネンは、この戦略変更によりマシンのポテンシャルを生かして形勢を逆転することができた。たった1周ではあったが、シューマッハーよりピットインを遅らせることで、この間にシューマッハーに対して決定的なアドバンテージを築いたのだ。シューマッハーは、ライコネンが1周分、約4.3km余計にコースにとどまっていなければ、オーバーテイクできないサーキットの特性を生かして、自分がトップを維持できたはずだと自信を覗かせた。
　現世界チャンピオンであるシューマッハーは、レース序盤について次のように語る。
「レース中の速さにはすごく満足だったよ。あの局面で彼の方が燃料が軽くピットストップが早かったことを考えれば、それほど大きなスピード差があったわけじゃないしね」
「タイム的には似たようなものだったけど、時間がたつと、僕らのタイヤの方がスピードが劣るようになってしまった」
「僕は、1回目のピットストップを終えた時点で彼の前のポジションをキープしていた。その時、彼は接近してきているし僕よりも速いが、僕をパスできるほどの速さはない、と分かっていた。そうなったら、どちらがいつピットに入るのか、ということになるけど、僕らはもちろん彼らが先にピットインするのを願っていた。でも、彼らは僕らよりも1周引っぱることに成功し、流れが彼らの方に向いてしまった」
「ピットストップを2回終えたところで彼らの前をキープできていたら、オーバーテイクの難しさから、僕らにもチャンスがあったかもしれないと思う。今となっては誰にも分からないけど」

　今季2勝目が手からこぼれ落ちたことに失望しながらもシューマッハーは、フェラーリ車が週末を通して上向きなパフォーマンスを見せたことに勇気付けられたようだ。また、第14戦トルコGP前の3週間の夏休み期間中にペース的により近づけるようにと願っている。
「僕らにはいいレースだった」とシューマッハーは断言する。
「ポールを獲得し、2位でフィニッシュした。僕もみんなもすごく喜んでるよ。いい週末だったし、2位を得たことでチーム全員のモチベーションも高まっている。ここ数カ月の間はチーム内の誰もが懸命な努力を続けていて、今回の結果がわずかながら見返りになった」
「間違いなく望ましい方向へと一歩踏み出してはいるけど、僕らは別のサーキットではどうかというのを確認しなくてはならない。それに、まだ向上しなくてはならない部分というのは見た目にもはっきりしているし、僕らは努力を続けていくだろう。でも、予選とレース序盤のパフォーマンスが問題なさそうなのはいいことだ。以前はその辺がよくなかったからね」

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