アンソニー・デイビッドソンは、2006年にウイリアムズチームで走ることになるかもしれない。BARとホンダが、来季もジェンソン・バトンを残留させるため、デイビッドソンをウイリアムズチームに差し出すかもしれないとの報道が流れたのだ。しかしBAR代表、ニック・フライはこれを否定している。
デイリー・テレグラフ紙やサン紙を含むイギリス国内の複数のメディアによれば、BARはバトンを引き留めるために、身代わりとしてデイビッドソンを差し出すことを検討中だという。バトンは今季末に、ウイリアムズに移る契約になっている。
報道によれば、将来の契約(昨年、契約承認委員会によって認められている)から解かれたいというバトンの個人的な依頼が、フランク・ウイリアムズにすげなく拒絶されたため、BARはバトンを引き留めるための最後の手段として“プランB”を発動させることになりそうだという。フライは、バトンをチームに欠かせない存在だと考えている。
デイビッドソンは代わりに差し出すもののひとつに過ぎず、BARはそのほかに、デイビッドソンの給料の2年分(1年あたり100万ポンド)を支払い、ウイリアムズがバトンを失うことの補償金200万ポンドも提供すると申し出ているようだ。
2000年にウイリアムズで華々しい活躍を見せたバトンは、ほぼ1年前にはウイリアムズに戻ることになると考えていた。2005年にウエーバーのパートナーとなる契約を結んでいたからだ。しかし、BARがこれに抗議し、契約承認委員会はBARの訴えを認めた。バトンは2006年にならないとウイリアムズには行けないとされたのだ。しかしその後、ウイリアムズはBMWエンジンを喪失寸前となっており、FW27は現在のところ、バトンが乗っている007ホンダに太刀打ちできない状況だ(両チームの獲得ポイントはそれを反映していないが)。去年の8月には、ウイリアムズへの移籍がワールドチャンピオン獲得のために理想的なことだと思われたとしても、今では状況が変わってしまったのはほぼ確実だ。
契約承認委員会の裁定が出た後、空いた穴を埋めるために、ウイリアムズはデイビッドソンを手に入れようとした。しかしBARは、1年以上たたないと移籍は無理だと告げ、これはウイリアムズのプランには合わなかった。バトンが2005年末には移籍する可能性があると分かっていたBARは、評価の高いデイビッドソンをレースラインナップの候補として残すため、もう1年テストドライバーを務めさせることにした。これによりニック・ハイドフェルドがウイリアムズのセカンドシートを獲得したが、彼は今季限りでBMWと共にチームを去ることになると見られている。
ウイリアムズは、2007年にはトヨタエンジンに転向することを有力視されているが、それまでの1年間は、実績のないコスワースのカスタマーV8エンジンを使用することになるかもしれない。そのため、ウイリアムズはバトンの代わりに金銭を提供するという申し出に心を動かされるかもしれない。
しかしながら、フライはこういった一連の報道を否定し、ウイリアムズとの間で何ら話し合いは行われていないと語った。
「いかなるオファーもなされておらず、話し合いも行われていない」とフライはロイターに対し語った。「交渉がまとまりつつあるという報道を数多く読んだが、それは事実ではない。今のところウイリアムズから取引をしたいという提案も受けてはいない」
バトン自身はこの件に関して口を開こうとしないが、フライはロイターに対し、この件は3、4週間のうちには解決するだろうと語っている。