F1のテクニカルディレクターたちが、現在の予選システムよりも旧予選システムの方が好ましいとの意見を表明した。これによって、わずか3年間前に導入されたシングルラップ方式に終止符が打たれることになるかもしれない。
最近のFIAの調査では、F1ファンの70%が、一定のラップ数を走った後、ベストタイムでグリッドを決定する旧予選方式を支持していることが分かった。イギリスGPの金曜日に開かれたFIAプレスカンファレンスでも、参加したほとんどすべての者が、旧システムを支持した。
フェラーリのロス・ブラウンは次のように語った。「私たちはこれまで、予選システムについて若干の実験を行ってきたのだと考えている。昔のことを楽観的に眺めてはならないが、振りかえってよく考えてみると、みんな旧システムの方が好ましいと考えている。その方が、ドライバーたちが必死にドライブするからね」
「ドライバーはマシンに乗り、タイムアタックをするとき、全力で走っていたものだ。いまはそうでもない。ドライバーはみんな保守的になっており、綺麗なドライブを行う。昔のようにエキサイティングではなくなった」
マクラーレンのテクニカルディレクター、エイドリアン・ニューエイも、2002年まで行われた旧予選システムの方が好ましいと考えている。もっとも、ニューエイは、2003年からのシングルラップスタイルも、しっかりした議論のもとに導入されたことを忘れるべきではないと指摘した。
「昔の予選システムの方がエキサイティングなセッションになると思う。いまとの一番の違いは、ライバルたちとタイムバトルが展開できるという点だ。昔は、予選で素晴らしい戦いが展開されたものだった。とくに、ミカ(ハッキネン)とミハエル(シューマッハー)はセッション中ずっと、互いにタイムバトルを演じ、とてもエキサイティングな予選となった」
「現在のシステムは、いささかお披露目的な意味合いが強い。もっとも、旧システムにもいろいろと問題はあった。1ラップ予選にしたのは、どのドライバーも同じようにテレビに映ることができるようにするためだった。旧システムに戻したら、テレビ放映の面でチーム間に不公平が起こるので、技術的な解決策を講じなければならない。私たちは、このことを含めて、予選について考えていく必要がある」
一方、パット・シモンズは、旧システムへ戻すことに異議を唱えている1人だ。F1関係者は「昔のことをもう忘れて」おり、1ラップ予選は旧予選システムに比べてあまりいいものではないかもしれないが、決勝のことを考えると1ラップ予選の方がいいと考えている。
「たしかに、昔の予選システムの方がエキサイティングだった。だが、私たちは、余興のためにメインアトラクションを台無しにしたいと考えるだろうか?」
「残念ながら、いま話し合われていることが実現すれば、当然のことながら、最も速いマシンがフロントロウに収まることになるだろう。だが、それがいいことだとは思わない」
「ここ数年の予選方式での1番の成果は、波乱が起こってきたことだ。ミスを犯した者はそれなりのグリッドに収まる。それで、決勝が以前よりずっと面白くなった。私にとって予選とは目的に到達するための1つの手段だ。その目的とはレースである」
「私たちが力を入れなくてはならないのはレースの方だ。いいレースを行うには何が必要か? 速いマシンだけがフロントに並ぶことはやめなければならない。彼らのレースだけを1時間30分の間ずっと眺めていなくてはならなくなる」