ザウバーのテクニカルディレクター、ウィリー・ランプは、サンマリノGPでC24シャシーとジャック・ビルヌーブがともに調子を取り戻したことを素直に歓迎したが、チームがこれからはコンスタントにポイントを稼げるようになるかどうかに関しては慎重な態度を取っている。
ここ数シーズンは比較的いい成績を残してきたザウバーだが、今シーズンは、フェリペ・マッサの僚友として元世界チャンピオンのビルヌーブを起用したものの、ここまでのところかなり苦しんでいる。バーレーンGPではマッサがポイントを獲得したが、チームが今回イモラで大きく飛躍したのは、レースの合間にビルヌーブがトヨタ、ウイリアムズ、マクラーレンらとともにイモラでテストと開発作業を進めたおかげだ。
ランプは、ヨーロッパシーズン開幕のイベントではある程度の前進は望めると期待をしていたものの、今回の結果には驚きを感じたことを認めている。
「風洞計測の結果が良かったのである程度期待はしていたが、結果として空力の恩恵は我々が考えていたよりもかなりの効果があった」とランプ。「空力に関してはかなりの改造を施したが、決定的な要素としては軽量化とリヤ部分のボディワークの低重心化にあることは間違いない。またそのことが空力の改善にさらに大きな効果を及ぼしている。ドラッグ量の増加に伴い明らかにダウンフォースが増えたことは計測の結果に出ているし、ブレーキの安定性も同様に空力にいい影響を及ぼしている」
「2005年のレギュレーションで空力に関する大きな変更があり、我々は基礎的なレベルから勉強しなおさなければならなかった。そのためにベーシックな設計の車を作りその後の改良に対応できるようにしたかったのだ。今回C24に改造を施した中で目に見えて明らかなところはサイドポッドの高さを大幅にカットしたところだ。しかしそれを行うまでには時間を要した。というのも我々は通常の1シフトでしか風洞を使用することができないからだ。トップチームは全て3交替制で24時間稼動させており、その点で我々は遅れをとっている。今は詳細を詰めることに専念できるところまで来ており、かなりいい状態で進んでいる」
「ミシュランタイヤの採用の決定にも時間がかかった。そのときには既にC24の開発がかなりのところまで進んでいたからだ。ミシュランタイヤはサスペンションのジオメトリーと重量配分に関して違うスペックを要求していたからね。今のところはそのエリアに関しては妥協しながら進めていかなければならない」
ビルヌーブがシーズン最初のポイントを獲得し、ウイリアムズの両ドライバーを打ち負かしたものの、ビルヌーブあるいはエンジン交換のペナルティで10番グリッドを下げられたマッサのどちらかがさらに‘いい成績を収める’かどうかに関しては慎重な意見を持っている。
「そういった予測をすることに関しては慎重になりたい」とランプは強調している。「確かにかなりの進歩を果たしたことは本当だが、イモラは事情が特別だ。我々はシーズン前にイモラでテストを行った数チームのうちのひとつだったということがある。だから基本的なセッティングを持っていたし、それは確実に役立った」
「この先に関してはバルセロナのレースが終わってからより明らかになるのではないかと思っている。だが、開幕当初のレースではいくぶん波乱もあったが今後のイベントでは、フォーミュラ・ワンのこれまでの序列通り‘ノーマルに戻る’のではないかと思っている」
「イモラのような飛躍的なステップは確かに素晴らしいことには違いないが、これからもそれを期待するのはあまり現実的ではない。イモラでの我々の活躍は、昨年のシルバーストンと同じようなものだと思っている。ただ現在のアプローチは続けていくし、これからのレースで新しい空力パーツを使おうと思っている。これからも一歩一歩改善が進んでいくポテンシャルをC24が持っていることには自信を持っている」