フェラーリのテクニカルディレクター、ロス・ブラウンは来季の開幕戦について、FIAの“素晴らしい新世界”に向けた新ルールに合わせたマシン開発を余儀なくされるため、各チームとも新型マシンではなく、現行マシンを走らせるだろうという見解を示した。
ブラウンは、ロイター通信に対し、FIAから提案された新ルールに適応したマシンを作るため、当初あった来季の計画を断念したと語り、各チームは開幕の数レース、新ルールに合わせるべく妥協した改良型マシンを走らせるだろうという予想を示した。
「私たちはすでに来年用のマシンの開発を始めていた。ずいぶんたくさんの作業を行ったが、そのほとんどがスクラップとなる運命になった。来季はどのチームも開幕から数戦は現行マシンを使用すると思う」
「開幕戦にあわせて完璧な仕事を行うのは難しいと思う。多くのチームが、新型マシンの準備のために、開幕から数戦は改良型マシンを使うと思う」
FIAの新ルール提案に対し、各チームは6週間以内に代案の提出が認めれている。期間内に代案が提出されない場合は、FIAの提案に従った新ルールが導入される。いずれにせよ、来季の開幕戦に合わせる形で新しいマシンのデザイン、組み立て、開発を行う期間はほとんどない。ブラウンは、F1に参戦する全10チームは今年のパッケージを更に進化させたシャシー、エンジン、ギヤボックスの製作を断念してもなお、準備に専念できる時間がほとんどないことを非難していると言う。
「過日にマシンのスピードを遅くするという提案を受けた。しかし、すぐには答えられなかった。ルール改正の影響は大きい。パオロ・マルティネッリ率いるエンジンチームはエンジン開発をストップしている。2レース1エンジンのルールなら、同じエンジンを使い続けることになるしね。ギヤボックスのデザインもストップしているし、シャシーのデザインも棚上げ状態だ」
マシンに関する新ルールの導入で、各チームともこれまでの成功を基にマシンを開発発展させることができず、デザインを1から全てやり直さなければならない。そうなれば、フェラーリは王者の座から引きずり下ろされることになるかもしれないことをブラウンは認める。
「とはいえ、今のマシンで来季の開幕4戦を戦ったとしても、まだ残りの(約)15レースでは新開発マシンのアドバンテージを生かせることになる」