2013年F1ブラジルGPの日曜決勝で、レッドブル・レーシングのセバスチャン・ベッテルは優勝、マーク・ウエーバーは2位を獲得した。
■インフィニティ・レッドブル・レーシング
セバスチャン・ベッテル 決勝=1位
今日の記録を他と比較したくはない。アスカリが走っていた時とは時代が違うから、比べるのはフェアじゃない。
当時はもっとクルマが壊れやすかったし、チームの力も安定していなかった。だから今日僕らが達成した記録は違う種類のものだ。
チームの全員がこの仕事を愛していて、喜んで力を尽くしている。素晴らしいスピリットであり、この一年が終わってしまうのがある意味悲しい。でも仕方ないね。全員が、休みをとって充電し、来年に備えるのを楽しみにしているはずだ。
スタートはあまりよくなかったが、その後ロズベルグを抜くことができた。今日のレースは何が起こるのか予想しづらかった。
2回目のピットストップは直前に決まったため、タイヤの準備ができるのを待たなければならなかった。でも残りの周回の中で挽回できたよ。
今日はマーク(・ウエーバー)にとって最後のレースだった。僕らの関係はベストではなかったが、プロフェッショナルなレベルでお互いへの尊敬の念を抱いていた。サーキット以外のところで何が起きたとしてもコース上での僕らには何の影響もなかったし、互いに激しく戦ってきた。
マークからはたくさんのことを学んだ。彼の素晴らしいスキルによって、僕はドライバーとして成長する方法を学んだ。だからこそ、彼は全ドライバーの中でベストのひとりだと僕は思っている。
マーク・ウエーバー 決勝=2位
最後のラップでヘルメットを脱いで走れてとてもよかった。F1では何かをするのに個人的なやり方を取り入れるのが常に可能だとは限らないんだ。
僕らは常にヘルメットを装着して走っているから、F1ドライバーがヘルメットをつけずにマシンに乗っているのをファンが見られるのは珍しい。
僕としても、ヘルメットをとってマーシャルやファンを見ることができて嬉しかった。とても素敵な経験だった。いつもは聞こえないようなたくさんの音が聞こえてきたよ。
今日僕にとって一番難しかったのは、マシンに最後に乗り込む瞬間だ。正直に言うと感情に圧倒されたよ。
今日一日の中で、一番激しい感情を感じたのは、ヘルメットをつけてマシンに乗り込む瞬間だった。
ラインを越えて皆が見えた時は最高の気分だった。クリスチャン(・ホーナー)から無線で最後のラップを楽しむよう言ってきたので、そのとおり楽しんだよ。できるだけゆっくり走った。とても特別な一日だった。
セブ(ベッテル)と僕はこの年月の中で難しい部分を抱えていた。フェルナンド(・アロンソ)は別のチームのドライバーだから、彼との方がいい関係を築きやすかった。今日は、今の世代で最も優れたドライバーであるこのふたりと表彰台に立つことができた。
彼らとは多くのレースを戦ってきた。彼らと一緒に最後の表彰台フィニッシュを成し遂げたのは僕にとって素晴らしいことだ。僕がキャリアの最後にいい走りができたということであり、(引退の)タイミングが正しかったということだから、とても大きな意味がある。
F1というスポーツを僕は愛してきた。自分がこういうキャリアを送るとは思いもよらなかった。とてつもなく素晴らしい瞬間も、非常に辛い瞬間もあった。厳しい出来事が起こり得るのは仕方のないことであり、人は逆境から学ぶことができる。
一番大きく強烈な記憶は、マシンに乗っている時のことだ。僕らは走るために訓練してきた。限界ぎりぎりで走ることが僕の仕事であり、それを楽しんできた。F1の世界にいたひとりの人間として、それこそが一番強い記憶として残る。