F1マレーシアGPは土曜午前のフリー走行3、4が行われ、3はルノーのフェルナンド・アロンソがトップ、4はトヨタのヤルノ・トゥルーリがトップタイムをマークした。トヨタ勢はフリー走行3でも好位置につけている。
土曜日9時からのフリー走行1回目は気温29度、路面温度30度、湿度63%というコンディション。BARホンダ勢は佐藤琢磨に代わってアンソニー・デイビッドソンがカーナンバー4のマシンに搭乗する。佐藤琢磨は前日夜から高熱を発し、一時的に低下しても再び上がるという状態で、サーキット入りしてすぐに医療センターへ直行し、点滴を受けながら諸検査を受けた。
琢磨は風邪と思われるものの、火曜日まで気候に身体を馴らすためにリゾートとして名高いランカウイに数日間滞在。同地帯は昨年のスマトラ沖地震後、蚊が媒介するデング熱が発生しており、その感染も疑われている。
HRDの田中詔一社長は「水曜日の夜に一緒に食事したが元気だった。熱が下がってもすぐ上がるといった症状で、この高温のサーキットでは体力的リカバリーは不可能と考え、予選・決勝ともデイビッドソンで行くことに決めました」と説明している。
※デング熱=「蚊によって媒介されるウイルス性の熱帯伝染病のひとつ。4〜8日間の潜伏期間ののち急に高熱・間接筋肉痛を発し、顔面・手などに麻疹様の発疹が現れ、間もなく熱は下がる。死亡は稀」(広辞苑より)
さて、9時から始まったセッション序盤で連続走行を行っているのはミナルディのクリスチャン・アルバースとパトリックフリーザッカーの二人のみ。他のチームはエンジンを温存しているのだろうか?
セッションが始まって20分近くなって、ようやくデイビッドソンを筆頭にラルフ・シューマッハー、ルーベンス・バリチェロ、ミハエル・シューマッハーらがコースイン。そのミハエル・シューマッハーは開始25分にターン4でスピン、コースオフするもコースには復帰した。
結局このセッションはルノーのフェルナンド・アロンソが1分34秒715のトップタイムをマークし、ミハエル・シューマッハーが2番手。ルノー勢は開幕ウイナーのジャンカルロ・フィジケラが3番手と好調だ。
琢磨を失ったBARホンダ勢のドタバタはまだ終わらない。9時45分のチェッカーと同時にピットインしたジェンソン・バトンの右排気管から発火。消火器で消し止める。コクピットを降りたバトンはすぐにエンジニアに何事か報告している。
チェッカー時の気温は30度、路面温度は32度。風が3.2メートルとやや強い。区間タイム最速はセクター1がキミ・ライコネン、セクター2がミハエル・シューマッハー、セクター3がアロンソ。
午前10時15分からのフリー走行4の天候は薄曇り、気温32度、路面温度36度、風速2.9メーター、湿度56%というコンディション。先ほどのバトンのピットイン時の失火はオイル漏れらしいが、セッションが開始されてもピットに入ったままだ。序盤は先ほどのセッション首位のアロンソがトップ。ミハエル・シューマッハーがそれを上回ってくる。
このセッションは各ドライバー攻めているのか、スピンが続出。開始13分にはレッドブルのデイビッド・クルサードがターン11でコースオフ。さらにその3分後、フィジケラ、高速S字コーナーのターン12進入でスピン!スピン中後ろ向きで縁石をまたいだ際にフロント・ウイングを飛ばし、グラベルに進入。フィジケラはマシンを降りた。すぐに赤旗が提示される。6分後、セッション再開となった。
トップはトヨタのトゥルーリで1分32秒832、2番手にラルフ・シューマッハーが0.119秒落ちで続く。規則改正が為された2005年型マシンだが、すでに昨年のポールタイム(1分33秒074/ミハエル・シューマッハー)より速い。終了直前にラルフの間に割って入ってきたのはレッドブルのクリスチャン・クリエンで、昨年まででは考えられないオーダーが上位を占める。昨年ここマレーシアで初表彰台を得たバトンのマシンは、モノコックからエンジンが外され点検中。このセッションは走らずじまいとなった。
そしてそのままチェッカー。トップはトゥルーリのままで、12番手ルーベンス・バリチェロまでの差が1.111秒差と僅差の争いだ。区間タイムトップはセクター1がアロンソ、2がラルフ・シューマッハー、3がマーク・ウエーバーとなっている。