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プーマに聞くレーシングギアとモータースポーツファッション最新事情。今年はレースがアツい?
2024年3月5日
2024年のシーズン開幕に向け、F1やWEC世界耐久選手権などでテストが始まり、国内でも盛んにテストがスタートしている。すでにF1では、ドライバーたちが新たなレーシングスーツを着用しており、新シーズンに向けて目新しいポイントとなっている。2024年に向け、レーシングギアに求められるもの、さらにファンにとっても気になるモータースポーツとファッションの関係についての最新事情を、レーシングギアからF1チーム、国内トップチームのチームウェアなども手がける、プーマ ジャパン株式会社の本田佳宏氏に聞いた。
* * * * *
■長いプーマとモータースポーツの関わり
──本田さんのプーマジャパンにおける役割を教えてください。
本田佳宏:(以下YH):自分はセールスチームに所属しておりますが、その中でモータースポーツのスペシャリストとして、多岐に渡って営業活動をしています。ギアを使用するチームやドライバー、さらにファンの皆さん向けのアイテム、また付随するスポンサー企業向けのウェアなど、本当に多岐に渡っていますね。
──本プーマとモータースポーツの関わりの歴史を簡単に教えてください。
YH:グローバルとしては、1998年にウイリアムズF1チームにレーシングシューズを供給したところからスタートしています。現在は、フェラーリ、メルセデスAMG、ステーク、ウイリアムズの4チームをサポートしているほか、2024年からはF1公式のウェアを制作します。またWEC世界耐久選手権とフォーミュラEではポルシェ、WECとDTMドイツ・ツーリングカー選手権ではBMWモータースポーツに供給していますね。
──本日本国内でのモータースポーツへの関わりと、現在サポートしているチーム、ドライバーを教えてください。
YH:1990年代の中盤、当時は三菱自動車と関わりが深く、N1耐久シリーズにミツビシ・GTOにプーマのロゴを出させていただきました。まだ弊社プーマ ジャパンが設立されていない頃で、当時プーマの販売契約を結んでいたコサリーベルマンが携わっていた頃です。またミツビシ・ラリーアートでのラリー活動にも携わり、それが日本でのモータースポーツでの関わりとしては第一歩となります。
その後、2006年にハンコックタイヤがスーパーGTに挑戦することになりましたが、当時プーマ コリアがハンコックのサポート契約を結んでおり、ハンコック・モータースポーツのユニフォームをすべてプーマ コリアが作っていました。
その体制のままモータースポーツチームがスーパーGTに臨むことになり、当時HANKOOK PORSCHEを走らせていたKTRにメンテナンスを委託したことから、日本国内でもKTRのサポートを可能な範囲でスタートさせていきました。
プーマ ジャパンが設立されたのは2003年でしたが、それまではレーシングギアは並行輸入で扱っていました。プーマ ジャパンができてからは、レーシングギアをドイツ本社から輸入し販路を広げていくことになり、HANKOOK PORSCHEをドライブしていた影山正美選手がプーマ製のグローブやシューズを使ったことがギアについてはスタートになりますね。
──2024年はどんなチームにサポートを行うのでしょうか。
YH:スーパーGT GT500クラスでは、TGR TEAM ENEOS ROOKIE、TEAM IMPUL、KONDO RACING、ARTAという4チームです。また全日本スーパーフォーミュラ選手権でもROOKIE Racing、TEAM IMPUL、KONDO RACING、さらにThreeBond Racingにウェアを供給しています。またドリフトではTEAM TOYO、サポートドライバーは大嶋和也選手、塚越広大選手、安田裕信選手の3名ですね。
■レーシングギアに求められるものは
──レーシングドライバーのギアに求められる大切なものはなんでしょうか。
YH:まずはもちろん安全性が第一です。近年は安全に対するレギュレーションも厳しいですが、その安全を基本にしながら、一方で近年は軽量化に特化したギアの開発を行ってきました。この点はやはりサポートしているF1チームとの開発があってこそですね。
ただ皆さんお分かりとは思いますが、ドライバーそれぞれの特性があるので、そのドライバーに合ったものをどれだけ提供できるかがポイントだと思います。
ドライバーによってこだわりのポイントはいくつかありますが、最も大きいポイントはレーシングシューズです。軽いかどうか、そしてソールの硬さが大事になります。実はカテゴリーによって違っていて、ハコとフォーミュラではぜんぜん違うんです。スーパーGTではロングドライブになること、また交代があるので、どちらかというと幅広く使える柔軟性が求められます。一方でフォーミュラは、一度乗ったらそのままなので、軽さが追求されます。
選手によっては1〜2戦終わったところでシューズの一部が削れているドライバーがいたり、逆にまったく問題ないドライバーもいます。そのあたりはもうさまざまですね。それに、F1はもちろんスーパーGTもスーパーフォーミュラも、レーシングギアの1グラムの違いがタイムに関わってくるので、ドライバーやチームにとっても重大な問題です。またドリフトはアクセルワークもかなりハードなので、軽量さよりもアクセルワークを優先したりと、まさにカテゴリーによって千差万別ですね。
──プーマの場合、ドライバーのギアからチームスタッフのウェアまで幅広く統一感をもたせることも可能です。そういった強みはありますか?
YH:まさに我々プーマがグローバルでやっているとおり、レーシングギアとそこからライフスタイルへの派生は強みですね。“Tell the story”という言葉で表現させて頂きますが、単にグッズだけを作ってもストーリーがありませんよね。本物のギアを作っていること、そこから派生して、ファンの皆さんが購入するグッズに広がっていっていると思います。
我々だけではなく、近年はさまざまなスポーツブランドやアパレルブランドがチームウェアのサポートを始めていますよね。逆にレーシングギアブランドの、スパルコさんやアルパインスターさん、OMPさんもギアだけではなく、ウェアのサポートも始めています。これからもいろんなメーカーが入ってくると思いますが、その点は競合他社さんではありますが、マーケット全体が盛り上げって、サーキットがファッショナブルになってくれることは私たちも嬉しいことですよね。
プーマではレディースやキッズまでプロダクトもあるので、ファングッズは単にファンだけでなく、家族で観戦に来た方々には、キッズアイテムやレディースアイテムを会場でご購入いただいていたり、またキャップやバックはお土産用として大変喜んでいただいています。
そういった意味ではプーマがサポートしているチームのファンはファミリーも多いですね。ピットウォークで家族全員がプーマのシューズを履いてくれていたり、キャップを揃えてくれていたりするのを観た時は、レースウイークで緊張感がある中ではありますが、自分としては空気が和みますね。
■プーマにとって大切なカテゴリー
──プーマのオンラインショップを見ると、ゴルフやサッカー、ランニング、ヨガに次ぐカテゴリーにあります。グローバルでプーマにとってモータースポーツは重要な競技ということでしょうか。
YH:他のグローバルなスポーツブランドさんは、モータースポーツはやられていないですよね。プーマにしかないカテゴリーだと思いますし、今後も強化してやっていきたいと思っています。またグローバルでは、モータースポーツはしっかりとメジャースポーツのひとつとして認識されていますし、プーマ ジャパンのメンバーも『モータースポーツはスポーツ』という認識をみんなが持っています。
──本田さんにとって、モータースポーツの魅力を教えてください。
YH:プーマとしてはフットボールやゴルフ、ランニングなどさまざまなカテゴリーがありますが、ひと言で言うと、モータースポーツは非日常の世界が魅力ですよね。現実とは違うと思います。フットボールやランニングなど、日常に近いスポーツはエントリーしやすいところはありますが、なかなかモータースポーツは簡単に入りづらい。ルールが分かりづらかったり、自分でやるならいろんな環境を整えないと、スタートラインにも立つことができない。ある意味、プーマがそういった世界に入り込んでいるのは、すごいことではないかと思っています。
先ほどもお伝えしましたが、モータースポーツは1グラムの違いで速さが変わってきます。もちろん他の競技でも大事なところではありますが、そういた世界に自動車メーカーさんや、タイヤメーカーさん、アフターパーツメーカーさんなどと一緒に加わって戦えることは、大きな魅力ですよね。
カテゴリーも多種多様ですし、非日常な世界を味わえる夢の世界であり、エンターテインメントとしても最高のスポーツだと思います。私の経験上、一度モータースポーツを知らないお客さまをサーキットに連れて行くと、だいたいみんなハマってます(笑)。
■2024年はファッション界でモータースポーツがアツい!
──プーマジャパンとして、今後日本のモータースポーツにどう携わっていくか意気込みを教えてください。
YH:プーマ ジャパンとしては、モータースポーツがより一般の消費者、ファッションが好きな方と親和性をもつようにしていきたいと思っています。昨年、グローバルなモータースポーツのアンバサダーとしてエイサップ・ロッキーが就任しました。現在、彼がモータースポーツのコレクション全般を監修しています。実はエイサップ・ロッキーはもともとモータースポーツが大好きで、プーマがオファーしました。今後コレクションも発表されていきます。
2023年のF1ラスベガスグランプリの際にも、パートナーのリアーナと一緒に来場されましたし、ファッション性が非常に高いアイテムとなっています。彼がポストしたXも反響が非常に大きいんです。
また、現在ハイブランドを中心にモータースポーツのテイストを打ち出したコレクションを出しています。プーマとしてもこの流れはチャンスと捉えていまして、それもあってエイサップ・ロッキーを起用しています。2005年ごろにはモータースポーツがファッションの中でもブームになった時季がありましたが、またファッション業界の中にも影響を与えられるチャンスだと思っていますので、ぜひご期待ください。
──たしかにアメリカではF1が大いにブームになっていますし、非常に興味深いですね。
YH:先日、韓国でスピードキャットに特化したイベントを行ったのですが、非常に多くの来場者がありました。ミニガレージをイメージしたイベントだったのですが、韓国はファッションのトレンドが日本に比べても早く、街中でもモータースポーツのトレンドがあり、過去に限定で発売したスピードキャット(※1)もほぼ完売でした。その流れが日本にも来ています。
問い合わせも多いのですが、やはりエイサップ・ロッキーについてもスピードキャットについても、近年まれにみる問い合わせが続いています。スピードキャットは我々にとってもシグネチャーアイテムですが、オンラインストアでも昨年の夏くらいから完売した時季があったくらいなんです。いま、過去にない勢いですよ。
──個人的には過去にフューチャーキャット(※2)を何足も履いてました。
YH:今年の春はフューチャーキャットが発売され、秋にはスピードキャットのオリジナルも発売予定なので期待していてください。
また、まだ言えないのですが国内では今年はGT300クラスでも着用するチームが増えると思いますし、スーパー耐久でも着用チームが増えています。ここまでトップチームの皆さんに着用していただいてきて、10年間での広がりも感じています。ありがたいことですね。
ぜひプーマのモータースポーツ活動に今後とも注目していただきたいですし、サーキットでも着用していただき、ファッションにも採り入れていただけるのが我々としてもいちばん嬉しいことです。やっぱりサーキットに行くときはぜひプーマを履いて来て欲しいな、と思っちゃいますね(笑)。
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※1 プーマ・スピードキャット
プーマがモータースポーツ活動を始めたときにスパルコとともに共同開発し誕生したレーシングシューズ。クラシカルながらレーシーなディテールがファッションにも採り入れられ、プーマの不朽の名作とも言われる。女性人気も高い。
※2 プーマ・フューチャーキャット
スピードキャットに続きプーマが作り上げたレーシングシューズ。アシンメトリーなデザインで当時世界中のトップドライバーがハイカットモデルを愛用した。ローカットモデルもファッションアイテムとしてロングセラーとなっている。
(Ryuji Hirano / autosport web)
関連ニュース
1位 | マックス・フェルスタッペン | 219 |
2位 | ランド・ノリス | 150 |
3位 | シャルル・ルクレール | 148 |
4位 | カルロス・サインツ | 116 |
5位 | セルジオ・ペレス | 111 |
6位 | オスカー・ピアストリ | 87 |
7位 | ジョージ・ラッセル | 81 |
8位 | ルイス・ハミルトン | 70 |
9位 | フェルナンド・アロンソ | 41 |
10位 | 角田裕毅 | 19 |
1位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 330 |
2位 | スクーデリア・フェラーリ | 270 |
3位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 237 |
4位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 151 |
5位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 58 |
6位 | ビザ・キャッシュアップRB F1チーム | 28 |
7位 | BWTアルピーヌF1チーム | 8 |
8位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 7 |
9位 | ウイリアムズ・レーシング | 2 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 0 |