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F1とFIAを相手に訴訟を起こしたマッサに元ドライバーらから厳しい目。支持する者はほとんどなし

2024年3月14日

 FIA国際自動車連盟、F1、バーニー・エクレストンを相手どり、6400万ポンド(約121億円)の賠償を求めて訴訟を起こすというフェリペ・マッサの決断は、F1コミュニティ全体から懐疑的に受け止められているのは明らかだ。彼の行動を支持する人はほとんどおらず、彼に有利な判決が下される現実的な可能性があると考える人はさらに少ない。


 マッサの弁護士が提出した法廷文書にある驚くべき事実のひとつは、元フェラーリF1ドライバーがもはや“クラッシュゲート”の名で知られる2008年F1シンガポールGPの結果を取り消そうとはしておらず、したがってそのシーズンのF1世界選手権の最終結果を取り消すことも望んでいないということだ。彼は実際には直接的な経済的損失、世界チャンピオンとしての地位に伴う将来の収入の損失、そしてタイトルを獲得できなかったことに対する精神的補償を要求している。


 ザウバー、フェラーリ、ウイリアムズを渡り歩いたこのブラジル人ドライバーが、お金が彼の動機ではなく、望んでいるのは「正しい結果を取り戻すこと」だけだと当初から主張していたことを考えると、大金とFIAおよびF1が世界タイトルを彼から不当に取り上げたことを何らかのかたちで認めさせることだけを目的とする訴訟を進めているのは少々奇妙に映る。

F1とFIAを相手に訴訟を起こしたマッサに元ドライバーらから厳しい目。支持する者はほとんどなし
フェリペ・マッサ(フェラーリ) 2008年F1第15戦シンガポールGP


 マッサの主張は元ドライバーたちから冷笑的に受け止められた。1997年の選手権2位のハインツ=ハラルド・フレンツェンは「彼が勝訴することを願っている」とX(旧Twitter)に投稿した。


「つまり私にもチャンスがあるということだ。1997年のジャック(・ビルヌーブ)は違法燃料を使用していたと思う。私も弁護士を探している」とポストし、もちろんそれが冗談であることを明かした。


 さらに、ワールドチャンピオンのデイモン・ヒルは、自身に代わって1997年にウイリアムズ入りしたフレンツェンに返信し、「もし誰かが父の1966年のインディを取り上げようとしたら……私は彼らを訴えるよ!」と物議を醸したインディ500でのグラハム・ヒルの勝利に言及した。当該レースでは、正当な勝者と思われていたジミー・クラークの1周を検査官がカウントしなかったと多くの人々が信じている。


 マッサの親しい友人で長年レースエンジニアを務めたロブ・スメドレーでさえ、マッサがとった一連の行動にはあまり同意できないと認めた。F1関係者だったスメドレーは次のように説明した。「彼は私の最高の友人のひとりだ。彼がこうしたことすべてを追求したいのであれば、誰もがやりたいことを自由にやるべきだ」


 そして彼はすぐにこう付け加えた。「私は決して振り返らないタイプだ。昨日起きたことは気にしない。今日や明日に何が起きるか、そして起きることに対してどのように影響を与えることができるかということに興味がある。フェリペ(・マッサ)は、なぜこれをやりたいのか、彼が言うように正義のためにそれをしたい、そしてそれを追求できる権利があるということをかなり明確にしている。それが彼がやりたいことなら、よいことなのだろう」


 自身の主張を明確にするためにスメドレーは次のように結論づけた。「私の考えでは、その年に2008年の世界選手権で勝利できていたら素晴らしかっただろう、ということだ。我々は勝てず、ルイス(・ハミルトン/当時マクラーレン)が勝った。そしてシーズンの終わりにもっとも多くのポイントを獲得したドライバーがチャンピオンに値するドライバーだ。それらのポイントは(毎戦)蓄積されたものだと私は思う。それがレースというものだ」



(Grandprix.com
Translation: AKARAG)




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